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現役ブラジル代表主将にして、磐田に加入したドゥンガ。危機感不足に驚いたJリーグ時代【フットボールと言葉】

シリーズ:フットボールと言葉 text by 竹澤哲 photo by Getty Images

日本のチームに足りないプレッシャーと危機感

セレソン主将を務めながら、Jリーグでも味方を鼓舞し続けたドゥンガ
セレソン主将を務めながら、Jリーグでも味方を鼓舞し続けたドゥンガ【写真:Getty Images】

 たしかに当時のJリーグにはブラジル人選手も多く、ドゥンガにとっては心強いことであったかもしれない。しかしドゥンガはJリーグに加わり驚かされた点を自らの著書、「勝者の条件」の中で触れている。

『日本のチームに入って驚いたのは、プレッシャーがないことだった。私がこれまで歩んできたサッカー人生は、常に周囲からのプレッシャーのなかにあった。所属するクラブ、あるいはサッカーの環境では、常にプレッシャーにさらされ、その中で勝つことを義務づけられてきたのだ。

 ところが、日本のチームに入ってから練習などで実際のプレーを見ていると、彼らにはプレッシャーの中で戦っているという危機感がない。私がこれまでのサッカー人生の中で強いられてきた、勝つということに対する姿勢というものが感じられなかった』

 強いリーダーシップ、キャプテンシー。ポルトガル語でいう“リデランサ”こそがドゥンガをもっともよく表す言葉と言えるだろう。

 ドゥンガはそれでも自らのスタイルを日本においても貫く。勝利を目指すため、強いリーダーシップを発揮するのだ。

 おそらく多くの日本人が思い出す、ドゥンガの印象とは、試合中、怒鳴りながら周りの選手を鼓舞する姿ではないだろうか。

(取材・文:竹澤哲)

【次回へ続く】

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