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Jリーグ 7年前

久保建英の早すぎたJデビューが持つ大きな危険性。無視すべきでない怪我のリスク、成長妨げる過剰報道

text by 舩木渉 photo by Dan Orlowitz , Getty Images

他の早熟の選手との大きな違いは体格。標準的な中学生

 対戦相手だったAC長野パルセイロに所属するベテランMF橋本英郎は、ガンバ大阪などでの過去の事例を挙げて若い選手の“飛び級”について持論を展開した。

「宇佐美とか家長とかは本当にすごかった。彼らの場合は体格の部分も多少ありましたし、キックの精度とかもすごかった。僕は(久保を)今日の試合だけしか見ていないので、(他の才能ある選手との違いは)わからなかった」

「どうしても技術の高い選手は上のカテゴリでやりますから、そこで足りなくて体で頑張ってというプレーヤーがちょっと下のカテゴリでやっている部分も多少ある。(J3では)競り合いだったりは強調される」

 たしかに久保はピッチに立った直後から相手の激しい当たりに苦しんだ。15歳という体が出来上がっていない状態で、テクニックだけでなくフィジカル的なタフさも求められる2列目に入り、相手守備陣のマークに弾き飛ばされてファウルを主張する場面も見られた。

 久保自身も「体を大きくするのはユースでも課題」と語っているため、これをただ「体が弱いだけ」と片付けることもできるが、怪我の大きなリスクが潜んでいることを無視してもいいのだろうか。

 橋本が挙げた宇佐美貴史や家長昭博がG大阪のトップチームで台頭しはじめた際、体格は他の年上の選手と比べても遜色なく早熟な印象があった。森本貴幸にも同じことが言える。東京ヴェルディで中学卒業直後にデビューした当時、身長180cm体重71kgと他のプロ選手に匹敵する体の大きさだった。

 一方の久保は15歳現在、U-16日本代表招集時に公開されたプロフィールでは身長167cm体重60kgとなっている。数字だけ見ればごく普通の中学生と変わらない体格だ。もし完全に体が出来上がっていない状態で大怪我を負えば、その影響は計り知れない。今後のキャリアを左右しかねないものになってもおかしくない。

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