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Jリーグ 7年前

久保建英の早すぎたJデビューが持つ大きな危険性。無視すべきでない怪我のリスク、成長妨げる過剰報道

text by 舩木渉 photo by Dan Orlowitz , Getty Images

橋本が語る「久保に“海外帰りらしさ”がない」の真意

久保建英 ダン
久保の随所に見せる左足の技術やポジショニングのセンス、ボールのないところでの動きの質は特筆すべきもの【写真:ダン・オロウィッツ】

 森本とは明らかに違う体の完成度で、ただ高いレベルを早く経験させたいからという理由で、プロのピッチに放り出してよかったのだろうか。怪我をして未来を潰してしまっても、責任を負うのは選手本人の体だ。つまり久保という特大の才能を無責任に投げ捨てたとも言える。

 この試合には直前にTV中継が決まり、特別スポンサーもついた。そのような状況があって出場が決まったのか、あるいは久保出場の可能性があってTVとスポンサーが決定したのか――。どちらであるかは分かりかねるが、前者であれば大きな違和感がある。

 久保の随所に見せる左足の技術やポジショニングのセンス、ボールのないところでの動きの質は特筆すべきもので、J3でも十分に通用する。だがフィジカル面は全くもって通用しないと断言していいだろう。あの体で継続的にJ3に出場させるようなら、いつ大怪我を負ってもおかしくない。

 橋本は“バルセロナ帰り”と海外の超名門クラブ下部組織出身であることを持てはやす風潮にも警鐘を鳴らしていた。

「南野拓実がオーストリアから帰ってきてセレッソで練習していたら、やっぱり体格が大きい選手に対してやっている分、CBと対峙しても全然倒れませんでした。(久保に)そういう部分(海外帰りらしい強さ)はまだなかった。

 もし彼が上のカテゴリでやっていればそういうところは出てきたかもしれないですけど、アンダーカテゴリの選手同士で試合をやってきたところがあると思うので、どうしても海外でその世代(中学生)ってまだ大きくないでしょう。高校生くらいから急に大きくなってきて、体格の差が出て日本人が勝てないということが出てくると思う。そこで彼が勝負し続けた方がもっと伸びがあったかもしれませんし、大きな壁にぶつかったかもしれない」

 これまでも海外の名門クラブの下部組織でプレーしていた、あるいはそのトップチームに所属した日本人選手は多くいたが、あるところまでいって壁に当たって大成しきらなかった、消えていった者も同じように数多くいる。

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