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Jリーグ 7年前

これぞ“鹿島らしさ”。相手の良さを消しゲームを支配。タイトルを獲ってこその「常勝」

text by 舩木渉 photo by Getty Images

スペースを消す意識の高さ

 レギュラーシーズンでの鹿島は、タックル回数、敵陣でのボール奪取回数、ボールを失った後5秒以内で取り返した回数、こぼれ球奪取回数でリーグ1位の数字を残しており、守備で“戦える”チームだったことがわかる。その特徴をCSでも遺憾なく発揮した。

 川崎Fは三好康児とともに前線をかき回していた長谷川竜也の負傷があまりにも痛かった。すぐに中村憲剛という、その時点で最強のカードを切ったが、大久保嘉人をトップに押し出すことでチーム全体の活動量が減ってしまった。

 27分にはこの試合を象徴するシーンがあった。川崎Fの谷口彰悟が最終ラインから速い縦パスを大久保に入れたとき、鹿島は昌子源、小笠原満男、永木亮太の3人がすぐに囲んでボールを奪った。結局ファウルにはなったが、DFとMFの間のスペースを消す意識の高さが現れた局面だった。

 後半開始時に発表された石井正忠監督のコメントからも守備意識の高さが伺える。

「後半もしっかり球際を戦うこと。すべてはそこから始まる!」

「最後までアグレッシブに戦い続けること。自分達のサッカーを表現し続けよう」

 普段なら当たり障りないコメントばかりでほとんど気にしないが、この2つのセリフからは川崎F戦に懸ける思いの強さをひしひしと感じた。

 後半、金崎夢生が先制ゴールを奪ってから鹿島の守備意識はさらに高まる。相手の攻撃に対して前半よりも深い位置でブロックを築き、選手間の距離を近くして川崎Fが使える中央のスペースを消した。1点差だったため自陣に引き始めるのが少し早い気もしたが、鹿島の選手たちには守りきれる自信があった。

 理由は守備の交代カードの充実だ。鹿島は75分にファブリシオを下げて三竿健斗を投入する。昌子は「健斗が出てきたら、とにかくお前はずっと俺らの前にいろと言った」と明かした。この狙いは大久保と中村憲剛の強みを消すことにあった。そこから川崎Fは徐々に焦り始める。

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