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Jリーグ 7年前

これぞ“鹿島らしさ”。相手の良さを消しゲームを支配。タイトルを獲ってこその「常勝」

text by 舩木渉 photo by Getty Images

タイトルを獲らないと「『常勝』と言われない」

 勝利のメンタリティとでも言おうか。CS準決勝の試合終了後、最近イギリスの『ガーディアン』紙に掲載されたウナイ・エメリ氏のインタビューにあった「私にとって勝利のメンタリティを持つ人というのは、必ずしも結局最後は勝っている人ではなく、最も勝ちたいと思っている人のことだ」という一節が頭をよぎった。

 戦力的に飛び抜けていたわけではないセビージャをUEFAヨーロッパリーグ3連覇に導いた名将の考え方は鹿島に通ずる。鹿島の選手たちは皆、他の選手たちよりも勝ちたいという思いをピッチ上で表現していた。

「今年はいろいろなことがあった。夢生くんと監督の衝突や、体調不良なんかもあったし、俺らは影響ないと強がるけど、どこかで(影響が)あったと思う。それを乗り越えて今、決勝に行けるわけで、そのことは忘れて『常勝アントラーズ』を浦和戦で見せられたらと思います。残り2つのタイトル(CSと天皇杯)を獲らんことにはまた『常勝』と言われないし、それを獲っての『常勝』やと思うし、しっかり証明したい」(昌子)

 鹿島には「勝ちたい」という純粋な気持ちを結果につなげる文化が育まれてきた。20年以上かけて積み上げてきたものは川崎Fのそれを上回っていたということだろう。CS準決勝の完璧な守備も勝つための現実的な決断の積み重ねであり、チーム全体のベクトルが同じ方向を向いていたからに他ならない。

 昌子や他の選手は「自分たちがいま何か成し遂げたかと言ったら成し遂げていない」と口をそろえる。浦和相手に勝利への強い思いを証明し、タイトルを獲得することが「常勝」鹿島復活への第一歩だ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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