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松木さん自らが明かす“名言”の真相。「黙って見ましょう」「ふざけたロスタイム」の舞台裏【編集部フォーカス】

シリーズ:編集部フォーカス text by 編集部 photo by editorial staff , Getty Images

過去の経験から「余計なことは言わない」という教訓を得た

本田圭佑
シリア戦の後半に獲得したPKを成功させた本田圭佑【写真:Getty Images】

「黙って見ましょう」
(2011年アジアカップ グループステージ第2戦 シリア戦、本田圭佑のPKについてコメントを求められ)

 川島永嗣の退場で波乱の展開となったシリア戦だが、後半35分に岡崎慎司がペナルティーエリア内で倒されPKを獲得。ボールを持ったのは本田圭佑。決めれば勝ち越しという緊張の場面で、当然のように実況アナウンサーは松木氏にコメントを求める。この「黙って見ましょう」は、この時の松木氏の“コメント”である。

 この一言について、「いや、これはやっぱり見た方が良いっていうね」と話すと、過去に起きた自らの知られざる経験を激白した。2000年に行われたシドニー五輪の準々決勝アメリカ戦は、PK戦にまでもつれる激闘だった。その試合を解説していたのが、他でもない松木安太郎氏である。

 日本の4人目、中田英寿が蹴る直前、2011年のアジアカップと同じようにアナウンサーから解説を求められた。「こういう時に責任感でチームを引っ張って、責任のある仕事をしている選手に限って往往にして外したりするんだよね」という話をしたのだという。

「という話をしたら外れちゃった、という経験があるから。言霊のようになるといけないから」と、解説者として言いたくても言えない、という葛藤があったことを告白した。

 このシリア戦では本田が無事PKを成功させたが、ゴール真ん中に蹴り込んだために焦りを隠せず、松木氏は「入ってよかった」と胸をなでおろしたという。

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