鹿島、柴崎放出も抜かりなし。大型補強敢行も伝統は堅持。常勝軍団が歩む新黄金期への道程

2017年02月02日(Thu)11時47分配信

text by 藤江直人 photo Getty Images
Tags: , , , , , ,

「頭が抜きん出た存在になりたい」

 鈴木常務も「勝ち組」や「無理」という言葉を用いながら、2017シーズンのリーグ優勝がもつ重要性を説く。実際、アントラーズの歴史を紐解けば、大きな赤字を承知のうえで将来へ投資し、第1次黄金時代を手繰り寄せた時期がある。

 Jリーグがスタートした1993シーズン。ファーストステージを制し、日本中に衝撃を与えたアントラーズは、チャンピオンシップでヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)に屈した。続く2シーズンもタイトル争いに加われない状況が続くなかで、後に第2代チェアマンを務める鈴木昌社長はビッグネームの獲得を厳命する。

 1994シーズンにレオナルド、1995シーズンにはジョルジーニョとワールドカップ・アメリカ大会を制したブラジル代表コンビが加入。1ステージ制で行われた1996シーズンで初めて頂点に立つと、1997シーズンには司令塔ビスマルク(ヴェルディ)と日本代表DF名良橋晃(ベルマーレ平塚)を獲得。2年間でさらに3個のタイトルを手中に収めた。

 当時はヴェルディと横浜マリノス(現横浜F・マリノス)が、人気を二分していた。地方の小都市で産声をあげた、小さなクラブが生き残っていくうえでも、鈴木社長は確固たるブランドが必要だと危機感を募らせていた。

 その結果として強豪クラブの仲間入りを果たし、有望な高卒ルーキーを獲得できる環境が整った。小笠原、中田(2014シーズン限りで現役引退)、いまも守護神として君臨するGK曽ヶ端準、MF本山雅志(ギラヴァンツ北九州)と、その後のアントラーズの屋台骨を支える顔ぶれが1998シーズンに加入したのは、決して偶然ではなかった。

 今シーズンも然り。人件費が高騰し、一方では収入の柱となる広告料収入と入場料収入が頭打ちとなっている状況で、20億円を超える収入がもたらす効果は計り知れないほど大きなものがある。2015シーズンを「ホップ」、2016シーズンを「ステップ」とすれば、「ジャンプ」となる今シーズンの先に鈴木常務はさらに壮大な青写真を描いている。

「ウチとジュビロ磐田が争っていたときのように、頭が抜きん出た存在になりたい、という思いがあるので」

 1997、1998、2001シーズンと、チャンピオンシップでジュビロと顔を会わせること三度。数多くの名勝負が繰り広げられ、ナショナルダービーとも呼ばれた当時のアントラーズをも越える強さを身にまとうために――。

 夢を追い求めて旅立った柴崎へ熱いエールを送りながら、昨シーズンに成長を遂げた既存の選手たちと期待の新戦力が融合し、新たな化学反応が生まれる瞬間を、鈴木常務は期待に胸を躍らせながら待っている。

(取材・文:藤江直人)

【了】

1 2 3 4 5

新着記事

↑top