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Jリーグ 7年前

盟友と父親が見たカズの雄姿。北澤、武田らが感服、50歳Jリーガーの存在価値

text by 藤江直人 photo by Getty Images

引退試合はブラジルで開催の可能性も?

 納谷さんは松本山雅戦の勝利を見届けた後、永住権更新のためにブラジルへ向かった。「この年になって、勝って出られるのは幸せだよ」と笑顔を浮かべながら、ブラジル時代にカズが飛躍のきかっけをつかんだキンゼ・デ・ジャウー、プロ契約を結んだサントスとはいまも連絡を取り合っていると明かした。

「引退試合はブラジルでもやるかもしれないね。(キンゼ・デ・)ジャウーとサントスは考えているよ。やめるときには連絡をくれと言われているからね」

 もっとも、現時点ではその日がいつ訪れるかはわからない。一学年下の盟友・中山雅史(アスルクラロ沼津)はすでにS級コーチ養成講習会を受講し、Jクラブの監督就任に必要なライセンス取得へ動き出しているが、カズはユニフォームを脱いだあとのことはいっさい考えていない。

「開幕から25年目だな、とは思いますけど、当時とはサッカーのやり方やクラブの数も含めて、いろいろな意味で変わっている。サッカー界は4年ごとに変わっていってしまうところもあるので、その意味では歩みというものを感じる間も振り返る間もなく、毎日毎日が勝負というか、精いっぱいやっていますね」

 見つめるのは次の試合でピッチに立ち、フォワードの証でもあるゴールを決めること。北澤さんや武田さんをはじめとする盟友たちを発奮させ、同世代の人々の憧れとなり、父親を喜ばせると同時に一抹の不安を抱かせながら、プロ32年目を迎えたカズは今シーズンも全力で駆け抜けていく。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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