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Jリーグ 7年前

齋藤学“無双”の裏で見えた新生マリノスの課題。若きトリコロールが秘める無限の可能性

text by 藤江直人 photo by Getty Images

急速に進む世代交代。若さがマリノスの新たな原動力に

 2014年5月にマリノスの株式の20%弱を取得。いまでは経営だけでなく戦力編成の面でも大きな影響力をもつイギリスのシティ・フットボール・グループ(CFG)が、マリノスの世代交代を推し進めようとした理由は、タイトル争いに絡めなかった昨季の軌跡を見ても明白だ。

 しかし、世代交代の方法で誤ったと言っていい。俊輔と並ぶ大ベテラン、DF中澤佑二に年俸の半減を通告し、メディアを通じて「非情だ」と大騒動になるや、一転して条件を再提示したのはその象徴となる。

 俊輔に対しても「引退後の監督手形を約束」なるものが報じられ、俊輔本人が「聞いていない」と不快感を露にしたこともあった。外資系企業ならではのドライな改革を断行するCFGと、日本人ならではの情も大切にしたい既存の選手たち。その板ばさみになった俊輔は、新天地ジュビロでこんな言葉を残している。

「純粋にサッカーができる環境を与えてもらっていることに、恩返しがしたい」

 俊輔がマリノスの絶対的な象徴であったがゆえに、このオフには感情論が上回る形で大騒動が巻き起こった。GK榎本哲也(浦和レッズ)、DF小林祐三(サガン鳥栖)、MF兵藤慎剛(北海道コンサドーレ札幌)ら30代の功労者が続々と移籍したことも、騒動に拍車をかけた。

 しかし、小林が抜けた右サイドバックでは、新加入の24歳・松原健(前アルビレックス新潟)が躍動。背番号を「5」に変えた22歳の喜田拓也と、同じく「14」に変えた25歳の天野純がボランチに君臨し、特に後者は左サイドバック・金井貢史との連動で、齋藤がフリーになる状況を巧みに作り出している。

 昨季はストライカーとして期待されたカイケ(現サントス)が、練習への遅刻など度重なる規律違反でトラブルメーカーとなった反省からか。CFG主導で獲得している外国人選手も、バブンスキーに代表されるように真面目な選手がそろった。

 最終ラインではオーストラリア代表に選出された22歳のミロシュ・デゲネク(前1860ミュンヘン)が中澤とセンターバックコンビを結成。最前線ではバブンスキーとともにレッドスター・ベオグラードから加入した27歳のウーゴ・ヴィエイラが、時間の経過とともにフィットしはじめている。

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