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Jリーグ 7年前

齋藤学“無双”の裏で見えた新生マリノスの課題。若きトリコロールが秘める無限の可能性

text by 藤江直人 photo by Getty Images

齋藤だけでないマリノスの強み

ウーゴ・ヴィエイラ
ウーゴ・ヴィエイラ(左)やマルティノス(右)ら、今季は外国人のひたむきさが光る【写真:Getty Images】

 昨季開幕直後にFCボタシャニ(ルーマニア)から加入したキュラソー代表の26歳、マルティノスは日々の練習から攻撃陣で切磋琢磨していると明かす。

「正規の練習が終わった後に、僕とバブンスキー、ウーゴの3人で、左、真ん中、右の位置からそれぞれ5球ずつシュートを蹴るようにしている。自分たちの技術をより向上させるために、意識して自主的にやっているんだ」

 アルビレックス新潟を日産スタジアムに迎えた18日の第4節。両チームともに無得点の均衡を破ったのは、マルティノスの利き足である左足だった。右サイドに開いた状態でバブンスキーからのパスを受け、対面のマークが甘いと見るや、中央へ切れ込んでから左足を一閃。

 意図的にカーブをかけた渾身の一撃は、アルビレックスの守備陣を巻くような軌道を描き、ゴールの左隅へ鮮やかに吸い込まれた。

「ああいうシュートも、居残り練習でやっていること。あの位置からはいつもファーポストを狙う。誰も触らない場合はもちろん、味方の誰かが触ってもゴールになるので」

 もっとも、アルビレックス戦では齋藤のカットインからの変幻自在な攻撃が封じられた。対面で対峙した元日本代表のDF矢野貴章は「決定的な仕事はさせなかったのかな」と振り返る。

「彼の足元だけを狙いにいってしまうと、僕の背後を狙ってくる上手さもあるので。足元を狙うような姿勢を見せておいて実は裏もケアしているよ、というポジショニングの駆け引きを意識しました。同じタイミングで走り出していくなら、スピードでは負けない、という自信があるので」

 レッズ戦のパフォーマンスがあまりに鮮烈だったがゆえに、今後は対戦チームも「齋藤封じ」を講じてくるはずだ。ドローに終わったアルビレックス戦における矢野のプレーは、MF加藤大と挟み撃ちにする場面などを含めて、他チームに大きなヒントを与えたかもしれない。

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