フットボールチャンネル

Jリーグ 7年前

G大阪・丹羽大輝、代表入りも経験し思い出した本質。職業サッカー選手の感覚的困難【The Turning Point】

サッカー選手の旬の時期は人ぞれぞれ。若くして豊かな才能を満開にする花があれば、辛抱強く力を蓄え、やがて咲かせる大輪の花もある。後者は、いかにしてプロの厳しい生存競争をくぐり抜け、脚光を浴びるに至ったのか。のちの躍進につながるターニングポイントに興味津々だ。第3回はガンバ大阪の丹羽大輝選手にご登場願った。丹羽は各年代の日本代表に選出されながら、フル代表デビューは29歳と遅い。J2で濃密な経験を積み、やがてG大阪の最終ラインに欠かせないプレーヤーとなった。折れない心の秘密に迫る。【後編】(取材・文:海江田哲朗)

シリーズ:The Turning Point text by 海江田哲朗 photo by Asuka Kudo, Getty Images

「いかに失点シーンに絡めるかが、いい選手になれる条件のひとつ」

ガンバ大阪のDF丹羽大輝。場数を踏むことの重要性を強調していた
ガンバ大阪のDF丹羽大輝。場数を踏むことの重要性を強調していた【写真:工藤明日香】

前編はこちら

――徳島ヴォルティス、大宮アルディージャ、アビスパ福岡に計5年間のレンタル移籍を経て、2012年ガンバ大阪に復帰。これまでの経験を糧に、いよいよ実りの季節を迎えます。

「自分が経験したこと、頭で考えてきたこと、すべての歯車がガシャンと合った感じ。良いことも悪いことも全部含めて。僕はそれらをはっきりと憶えてるんですよ。忘れることがない。

 失点に絡んだ事実は、試合中は忘れなければダメですけど、試合後は自分の中に留めておかなければいけない。分析し、なぜ防げなかったのか原因を突き止めないと、また同じミスを繰り返す」

――経験を血肉化させる仕上げの作業。

「若いセンターバックやゴールキーパーが難しいとされるのは、やはりそこの問題なんですね。逆説的に言えば、いかに失点シーンに絡めるかが、いい選手になれる条件のひとつということ。

 場数を踏んだ経験豊富な選手ほど、相手の攻撃を防ぐバリエーションを多く持てる。より適切な解決方法を探し当てられる。守備の選手が年齢を重ねるにつれて安定度が増し、チームを助けられるようになるのはそういうこと。分析をして、自分の中に取り込まないといい選手にはなれない」

――試合後は映像をじっくり見る?

「サッカーしか見ないですからね。それか子どもと一緒に見る教育番組」

――ストイック。

「好きなだけです。ストイックとは思わない。僕は遠征先のホテルで、テレビのリモコンを持ったことが一度もない。iPadでJリーグや海外の試合を見てる。あとは、たまに映画は見るか」

――2011シーズン、ボコボコにされてJ2に降格した福岡のときも?

「当然。自分が最大限の努力をして起こったことは確実にプラスになる。僕の場合は、アプローチをやり切った自負があるから、結果が出なかったとしても選択に後悔はない。福岡には4年弱お世話になって、途中、ガンバに帰る選択肢があるにはあったんですが、そのとき僕は残ることを選んだ。考えた末だったんで、選び取った道に悔いはないです」

1 2 3 4 5

KANZENからのお知らせ

scroll top