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豪州代表が直面する壁。W杯予選はガラガラ、新布陣はズタズタ…不安残し天下分け目の日豪戦へ

text by 植松久隆 photo by Getty Images

自国代表戦に“興行”をぶつけた謎。代表人気の低下浮き彫りに

 最前線のファーストチョイスとしての立場を確立したトミ・ユリッチの2得点に加え、最後は名門セルティックで多大な存在感を発揮して一躍サッカルーズの攻撃の中心に昇りつめたトム・ロギッチの鮮烈なミドルシュートに何とか救われて3-2の辛勝。ホームで勝ち点3を何とかキープし、消化試合がひとつ多いながらも暫定的に上位2ヶ国と並んだ。

 その5日後の13日、サッカルーズはメルボルンにブラジルを迎え、アジア王者として臨むロシアでのコンフェデレーションズ杯に向けて“壮行試合”を戦った。この日の会場は、先日のブラジル対アルゼンチン戦と同じMCG。そして、集まった観衆は4万9874人。メッシ擁するアルゼンチンに代わって、自国の代表チームが登場したにも関わらず観客数は半減した。

 メルボルンの一般的サッカーファンは、かなり強気の入場料の値段設定から考えても、懐具合を考えて5日間のうちに行われる2試合から二者択一を迫られたに違いない。そして、結果的に自国代表の試合よりも他国代表同士の試合を選んだ人の数が2倍に上った。ここにも、現代表の人気が透けて見えてくる。

 正直言って、このタイミングで「ブラジル対アルゼンチン」という“興行”を自国の代表戦にぶつける意味があったのか、甚だ疑問だ。

 8日のサウジアラビア戦、9日のブラジル対アルゼンチン、13日のブラジル戦、この3試合はアデレードとメルボルンという南部の2大都市で行われた。せめて国内の違うエリアで開催するなど、やりようはあったはずだ。単純比較ができないように他の会場を設定できなかったのだろうか。しかも、サウジアラビア戦は公式戦であり、W杯行きがかかった大事な試合に十分なサポートがあったとは言い難い。

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