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豪州代表が直面する壁。W杯予選はガラガラ、新布陣はズタズタ…不安残し天下分け目の日豪戦へ

 ロシアW杯アジア最終予選で日本と同じグループを戦っている豪州代表が窮地に立たされている。アジア王者として臨むコンフェデレーションズ杯前に控え組のブラジルに完敗を喫するなど、チームには不安だらけ。観客動員数でも現在の代表人気の低さが浮き彫りになった。W杯出場権獲得をかけた大一番、8月の日豪戦に向けて“サッカルーズ”の現在地を探る。(取材・文:植松久隆)

text by 植松久隆 photo by Getty Images

豪州戦、観客動員はブラジル対アルゼンチンの3分の1

ティム・ケーヒル
オーストラリア代表のティム・ケーヒル【写真:Getty Images】

 6月9日、豪州の「スポーツの首都」と称されるメルボルンで、9万5569人の大観衆がトップレベルのサッカーに酔ったーーといっても、それは自国代表の試合ではない。ブラジル対アルゼンチンという世界有数の好カードの親善試合だった。

 リオネル・メッシやフィリッペ・コウチーニョといった世界トップレベルの選手を見に来た観衆で、豪州国内最大の収容人数を誇るメルボルン・クリケット・グラウンド(MCG)は、ほぼ満員に膨れ上がった。

 その前日(6月8日)、豪州代表はロシアW杯アジア最終予選でサウジアラビアと対戦していた。この最終予選でなかなか勝ちきれない試合が続くサッカルーズ(豪州代表の愛称)にとって、この試合はW杯出場権を自力で獲得できる可能性を残すには是が非でも勝たねばならない大事な一戦だった。

 決戦の地に選ばれたのは、南オーストラリア州の州都アデレード。そして会場は、これまたクリケット場のアデレード・オーヴァル。約5万4000人収容のスタンドは、何としても勝てなばならぬ“Do or die”の戦いにしては寂しすぎる2万9785人の入場に留まり、空席が目立った。

 伝統的にプレーオフで苦戦を強いられてきたオーストラリアサッカー連盟(FFA)も、この試合の重要性は当然ながら理解しており、様々なマーケティングを駆使してファンに来場を呼びかけたが、笛吹けど踊らず。当日は現在の代表人気を反映したかのような不入りとなった。

 その客の入りに呼応したわけではなかろうが、試合内容もかなりお寒いものだった。新たに試している3-4-2-1が機能しない。3バックと2枚の守備的MFの連携が悪く、左右のサイドハーフは3トップのウィングともディフェンシブなウィングバックともつかないポジショニングで役回りがはっきりしない。

 右サイドで起用されたマシュー・レッキーは、とにかくポジショニングが悪く、自身で何度も首を傾げながらやりにくそうにしていただけの印象だった。この日の失点シーンを見ても、ボールウォッチャーになった3バックが簡単に突破されてのもので、安定しないまま90分が過ぎていった。

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