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豪州代表が直面する壁。W杯予選はガラガラ、新布陣はズタズタ…不安残し天下分け目の日豪戦へ

text by 植松久隆 photo by Getty Images

ブラジルには完敗。コンフェデ杯に不安残す

ブラジル代表
6月13日に行われたブラジル戦でオーストラリアはなす術なく敗れた【写真:Getty Images】

 このサッカルーズの置かれた状況を他に置き換えて考えてみてほしい。代表ウィークに強豪の他国代表がやって来て親善試合を行う。それにファンが自国代表を差し置いて駆けつける。日本だけではなくサッカー先進国ではこんなことは起きえないはずだ。10万人の観客動員が見込めることで商売マインドにほだされ、自国代表の不人気を必要以上に白日の下に曝すような今回の日程と会場設定には疑念を禁じ得ない。

 サウジアラビア戦だけでも、東海岸のシドニーかブリスベンで開催していれば、観客動員面でも違う結果が出たはずだ。本来であればサウジアラビア戦はシドニー、メルボルンの2大都市に続く全豪第3の都市ブリスベンで開催するのが定石だろう。

 しかし、アンジ・ポスタコグルー監督自身かつて本拠地にしていたこともあるブリスベン・スタジアム(筆者注:通常はネーミングライツによりサンコープスタジアムで知られる)では、今回のW杯最終予選の試合は行われない。

 設備やロケーションは国内最高レベルだが、13人制、15人制と2種類のラグビーの試合で酷使され痛み切った同スタジアムの芝の状態は最悪。それを知るポスタコグルー監督は代表戦にふさわしいピッチだと考えておらず、結果的に試合は一度も組まれないままだ。

 コパ・アメリカを獲れず、今回のコンフェデレーションズ杯には出場しないブラジルとの“壮行試合”に話を戻そう。ここから大事な大会に向けて、様々な意味で状態を上げていかなければならないサッカルーズだったが、格上のブラジルになす術なく敗れた。

 日頃プレー時間の限られる選手や飛び級で招集された新戦力を試せたことなど意義は少なからずあった。とはいえ試合中継でコメンテーターの元代表ロビー・スレイターが「この試合は、コンフェデレーションズ杯に向けて理想的な準備だったとは思えない」と声を荒らげたように、壮行試合としての意味はなかったに等しい。

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