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ドルトムント、新たな“ボス”の肖像。息づくトータルフットボールの哲学と高度な守備戦術

トーマス・トゥヘル監督が退任したボルシア・ドルトムントに、オランダからペーター・ボス新監督が招かれた。昨季アヤックスをEL決勝に導いた指揮官は、どんな戦術を好み、いかにチームを作り上げていくのか。そして香川真司に居場所はあるのだろうか。日本でのプレー経験を持つオランダ人監督の辿ってきた道に答えが隠れているかもしれない。(取材・文:中田徹)

text by 中田徹 photo by Getty Images

名門アヤックス復権。ボスがEL決勝へと導く

ボス
ペーター・ボス監督が今季からボルシア・ドルトムントを率いる。昨季はアヤックスをEL決勝進出に導いた【写真:Getty Images】

 アヤックスを取り囲む風向きが、1月19日の対ズウォレ戦(3-1で勝利)でジュスティン・クライファートがデビューしてサポーターを虜にした頃から好転した。

 ビルドアップに手数をかけず、一気に相手のペナルティエリア内にボールを運んでシュートでゴールを脅かし、ボールを失ったらすぐに4人が相手を包囲して回収、すかさずショートカウンターを仕掛けて、ハーフコートフットボールを試みる——。

 ペーター・ボス監督が志向していたサッカーがピッチの上で形となり、アヤックスは首位フェイエノールトの猛追を開始した。

 ヨーロッパリーグ(EL)の舞台ではアヤックスサポーターのみならず、オランダ中が「トータルフットボール」の再来に夢を見た。その機運が高まり始めたのは3月16日、ベスト16の対コペンハーゲン戦2ndレグ(2-0で勝利)から。

 クライファートと同じく、まだ17歳のマタイス・デ・リフトがCBとして相手の巨漢2トップを完封した上、アヤックスのDFらしく巧みなドリブルインから中盤で数的優位を作るなど、ハツラツとしたプレーで“将来のスター誕生”を予感させた。

 以降、アヤックスは準々決勝の対シャルケ戦(1stレグ、2-0で勝利)、準決勝の対リヨン戦(1stレグ、3-1で勝利)と、文字通りヨハン・クライフ・アレーナがサポーターの熱狂で大揺れするスペクタクルな試合を披露し続け、ヨーロッパの舞台における名門の復権を印象づけたのだ。

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