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日本代表 7年前

日本代表、サウジ戦を試金石に。新戦力の見極め、ベテランの奮起を促す重要な一戦

text by 元川悦子 photo by Getty Images

本田&岡崎の奮起に期待。トップ下・柴崎にもチャンスを

日本代表
サウジアラビア戦はあらゆることを試す場になるかもしれない。経験の少ない選手の抜てき、ベテランの奮起にも期待したい【写真:Getty Images】

 2列目より前は選択肢が複数ある。トップ下に関しては、前回出番のなかった柴崎岳(ヘタフェ)と小林祐希(ヘーレンフェーン)のいずれか、右サイドは本田圭佑(パチューカ)か久保裕也(ヘント)、左サイドは原口元気(ヘルタ・ベルリン)か武藤嘉紀(マインツ)、1トップは岡崎慎司(レスター)か杉本健勇(C大阪)が考えられる。が、浅野や乾貴士(エイバル)もピッチに立てない状態ではない。どういうチョイスをするのが今後にとって一番のプラスになるのかをハリルホジッチ監督は思いめぐらせているだろう。

 そこで強く勧めたいのが、本田と岡崎の先発起用である。6大会連続で世界への切符を引き寄せた大一番でまさかの出番なしに終わった本田は「僕はこの危機感を与えてくれたことに感謝している。(乾)貴士も(浅野)拓磨にしてもすごかったし、もっとスプリントせなあかんというシンプルなことを思わせてくれる選手がいた」と代表で実績の少ない面々の台頭に俄然やる気が湧いたという。

 それは岡崎にしても同じ思いのはず。オーストラリア戦は後半42分からわずかにピッチに立ったものの、代表キャップ109試合・50ゴールという偉大な足跡を残した男がそれで満足できるはずがない。長谷部や吉田が控えに回るとしたら、ゲーム全体をコントロールし、チーム全体を落ち着かせる人間はやはり必要だ。本田と岡崎であればそういう役割は十分にできる。むしろ31歳の両ベテランがかつてないほど奮起する姿は若手にもプラス影響を与え、健全なサバイバルを加速させるだろう。

 トップ下は2年ぶりの代表復帰となった柴崎を思い切って抜擢してもいい。柴崎にとって最後の国際Aマッチ出場は2015年10月のイラン戦(テヘラン)。だが屈強な体躯を誇る男たちに囲まれて、仕事らしい仕事は何一つできず、デュエルの弱さを露呈することになってしまった。

 だが、今年からスペインに活躍の場を移し、フィジカルコンタクトや相手との間合いは多少なりとも変化しているはずだ。同じ中東の地でかつて感じたコンプレックスを払しょくできれば、彼自身にとっても、日本代表にとっても大きな節目になる。

 こうしてチャンスを与えられた選手たちが目覚ましいパフォーマンスを見せ、最終戦も内容ある勝利を手にすれば、チームの士気はさらに上がる。そういう前向きな形で最終予選を終わらせるべく、指揮官には策を講じてもらいたい。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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