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アジア 7年前

浦和、怒涛の4連続ゴールで奇跡の逆転準決勝進出。ぶれなかった「ACL制覇」の目標

浦和レッズが奇跡の逆転勝利をあげて、2008シーズン以来、通算3度目となるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のベスト4進出を決めた。川崎フロンターレの先勝で迎えた13日の準々決勝第2戦で、前半19分に先制される苦境から怒涛の4連続ゴールをゲット。2戦合計で5‐4と大逆転を果たしたホーム・埼玉スタジアムでの大一番にかけた3人のベテラン、FW興梠慎三(31)、MF柏木陽介(29)、DF槙野智章(30)が胸中に秘めた思いに迫った。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「正直、(中村)憲剛さんがいるほうが嫌でしたね」

浦和レッズのDF槙野智章
浦和レッズのDF槙野智章【写真:Getty Images】

 フォーメーションが後半の途中から変更されていたことを、浦和レッズのDF槙野智章は知らなかった。正確に言えば、ベンチの首脳陣やピッチ上のチームメイトたちから知らされていなかった。

「試合が終わってから知りました。そのへんは伝達をしっかりやってくれと言いましたけど。僕、左サイドで(ベンチの)一番近くにいたのに、教えてくれなかったので」

 ミラクルな大逆転勝利の余韻が、色濃く残っていた試合後の取材エリア。思わず苦笑いを浮かべた槙野だったが、たとえ伝達されていたとしても、やるべき仕事は変わらなかっただろう。

 DFマウリシオに代わってFWズラタンが投入されたのが、1‐1で迎えた後半18分。レッズはそれまでの「4‐1‐4‐1」から、フォーメーションを「3‐5‐2」にスイッチしている。

 槙野のポジションは左サイドバックから左ストッパーに変わった。マイボールになるとアンカーの青木拓矢が最終ラインに下がって4バック気味になる、お馴染みの可変システムで高い位置を取り続けた。

 右サイドバックから右ストッパーに変わった森脇良太も然り。必然的に2人の後方には大きなスペースが生まれるが、それでもリスクを冒せるだけの状況が長く続いていた。槙野が続ける。

「正直、(中村)憲剛さんがいるほうが嫌でしたね。ボールを拾われたときに憲剛さんと大島(僚太)選手にわたってしまうと、そこでタメを作られてしまう。その意味では僕たちもなかなか上がるチャンスがなかっただろうけど、あの2人がいないことで思い切りよくゴールに向かうプレーが数多くできたと思う」

 川崎フロンターレの大黒柱、MF中村がピッチを後にした前半42分。埼玉スタジアムで13日夜に行われた、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第2戦のターニングポイントが訪れた。

 左サイドバック・車屋紳太郎の一発退場で10人になっていたフロンターレは、ボランチの大島を一時的に左サイドバックに下げた後に、中村に代えてMF田坂祐介を車屋の位置に投入していた。

「一人減ってしまったので、運動量が必要になるだろうということで代えました」

 これまでの公式戦でも、後半途中には決まって36歳の中村をベンチに下げていた鬼木達監督は試合後にこう説明した。一発退場という緊急事態を受けてそのパターンを早めたが、結果として中村から繰り出されるカウンターというリスクが消滅した。右足首を痛めていた大島も、後半20分にベンチへ下げざるをえなくなった。

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