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アジア 7年前

浦和、怒涛の4連続ゴールで奇跡の逆転準決勝進出。ぶれなかった「ACL制覇」の目標

text by 藤江直人 photo by Getty Images

唯一ぶれずに変わらなかった「ACL制覇」の目標

ACL準々決勝で奇跡の逆転勝利を果たした浦和レッズ
ACL準々決勝で奇跡の逆転勝利を果たした浦和レッズ【写真:Getty Images】

 90分間フル出場を果たし、2つのアシストが評価されてマン・オブ・ザ・マッチにも選ばれた29歳は決戦前夜の12日にある試合の結果を見て心を震わせ、気持ちも新たに第2戦を迎えていた。

 上海上港と広州恒大の中国勢同士によるACL準々決勝第2戦。初戦を0‐4で落とした広州恒大がホームで4点を奪い、延長戦でリードを許すも終了間際に同点に追いつく執念を演じていた。

 結果的にPK戦の末に涙を飲んだが、心がかき立てられた。振り返れば、第1戦を0‐2で落としながら逆転勝ちした済州ユナイテッドFC(韓国)との決勝トーナメント1回戦でも、FCバルセロナがパリ・サンジェルマンを大逆転で下したUEFAチャンピオンズリーグに刺激を受けていた。

「何かわからないけど、オレらってこういうときにいつも。前回はバルサが逆転して、今回は広州。すごいモチベーションになるし、本当にありがたいなと思いますよね」

 開幕直後の無双ともいえる強さが急激に影を潜め、まさかの苦戦を強いられてきた今シーズン。7月にはミハイロ・ペトロヴィッチ監督が解任される激震にも見舞われ、YBCルヴァンカップ連覇の夢も断たれた。

 残り9試合となったJ1では、首位の鹿島アントラーズに勝ち点16ポイント差の8位に甘んじている。バトンを引き継いだ堀監督のもと、レイソル戦からは慣れ親しんだ可変システムとは別のフォーメーションで戦っている。

「監督が代わって、システムもメンバーも変わったなかで唯一、ぶれずに変わらなかったのはACLを取りたいという目標だった。いまはステージをひとつ上がっただけですけど、とにかく決勝に進んでタイトルを取りたい。それに尽きるし、リーグ戦もまだ上位を狙えるチャンスもあるので。戦っていくだけです」

 槙野が決意を新たにした。準決勝で激突する上海上港とは、グループリーグでも顔を合わせた。敵地で2‐3と負けたものの、ホームでは1‐0の勝利を飾っている。敵地に乗り込む27日の第1戦ではあのころとは違った、どん底からはい上がってきた強さを身にまとったレッズを見せたい。

 その前に中3日でジュビロ磐田とのリーグ戦が敵地であり、連覇を狙うアントラーズと激突する天皇杯4回戦も20日に待つ。興梠の濃密な経験。柏木の内に秘めた静かなる闘志。そして、槙野の熱き思い。ベテランたちにけん引されるかたちで、レッズが高らかに復活への雄叫びをあげた。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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