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アジア 7年前

浦和、怒涛の4連続ゴールで奇跡の逆転準決勝進出。ぶれなかった「ACL制覇」の目標

text by 藤江直人 photo by Getty Images

ロッカールームでの檄。「自分に言い聞かせていました」

 同点のまま迎えたハーフタイム。最低でもあと2点が必要な状況で、ロッカールームで「絶対に希望を捨てるな」という言葉とともに、信じる気持ちをもち続けようと檄を飛ばした。

「みんなにはそう言っていましたけど、あえて自分に言い聞かせていましたね」

 ちょっぴり照れながら本音を明かす槙野は、熱い思いを胸に抱きながらキックオフを迎えていた。簡単にはあきらめられない理由があった。勝利と笑顔を届けたい存在がいた。

「今日の試合を迎えるにあたって、クラブのスタッフがビラ配りをしてくれていることも知っていたので」

 平日水曜日のナイトゲームは、リーグ屈指の集客力を誇るレッズでもさすがに苦戦を強いられてきた。ゆえにスタッフ総出で必死に告知に務め、観客を動員してフロンターレにプレッシャーを与えたかった。

 第1戦で貴重なアウェイゴールを決めながら、累積警告で第2戦が出場停止となっていたMF武藤雄樹も、けがで戦線離脱中のMF宇賀神友弥もビラ配りに加わっていたことも知っていた。

 柏レイソルを埼玉スタジアムに迎えた9日の明治安田生命J1リーグ第25節では、ACLにも足を運んでほしいとサポーターたちが周囲に必死に呼び掛けてもいた。レイソル戦に招待した知人から、そうした動きがあったことを槙野は知らされていた。

「あとは僕たち選手が、グラウンドのなかで結果を出すだけだと思っていた。クラブのスタッフの働き、サポーターの皆さんの影の働きを合わせた3つが重なって、みんながチームのために働いたことでこうやって結果を出せたと思っています」

 観客数は2万6785人を数えた。レッズ側のゴール裏は真っ赤に染まり、ピッチで戦う選手たちを鼓舞。ファンやサポーターたちの目の前で、後半に3ゴールを奪って奇跡の勝利を届けた。

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