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日本代表 6年前

【識者の眼】不在の欧州遠征で見えた必要性。ハリルJ、本田・香川・岡崎の正しい使い方

本田圭佑、香川真司、岡崎慎司とい重鎮3人が、11月の日本代表メンバーから漏れた。ブラジルやベルギーと対戦する重要な欧州遠征だっただけに衝撃は大きく、長きにわたって日本を支えてきた選手たちにはW杯への道が断たれたようにも見える。だが、現実は違っているかもしれない。経験豊富な3人はいまだに重要な戦力だ。(取材・文:河治良幸【ブルージュ】)

text by 河治良幸 photo by Getty Images

固まり始めた守備の形。一方で攻撃面は…

本田 香川 岡崎
本田圭佑、香川真司、岡崎慎司(左から)の有用性は、彼らが不在だった欧州遠征で際立って見えた【写真:Getty Images】

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は欧州遠征での2試合を終え、「この2試合を通して、いろいろな結論を導き出すことができた」と語った。

 今回はロシアW杯の組み合わせ抽選でポット1に入ることが確定している強国との連戦で、現在地をはかる意味合いも強いが、もう1つはチームの軸の部分を固めながら、どういったオプションが必要になってくるかを想定するのに有効なヒントがたくさん見つかったのではないか。

 現時点の評価でチームに戦術的な引き出しがないという声も聞かれるが、前回ブラジルW杯のアルジェリア代表でもこの時期まではベース作りで、そこからオプションのブラッシュアップをはかり、数人の新しい選手を組み込んでいることを踏まえて評価するべきだろう。興味深いのは新戦力だけでなく、一度外した主力を戻した例も少なくないということだ。

 その理由はコンディションかもしれないし、すでに実力が分かっている彼らより別の選手をテストして、最終選考に向けて振るいにかけたかったのかもしれない。もちろん就任後にフランスのアンダーカテゴリーで代表経験がある選手をルーツであるアルジェリアのA代表に引き入れるなど、日本と異なる強化事情もあるので一緒くたにできないが、全てはW杯本大会で結果を残すために、そうしたことも躊躇なく行う監督だということを認識するのに大いに参考になる。

 それを踏まえて欧州遠征のメンバーを見ると、本田圭佑、香川真司、岡崎慎司という現代表で得点ランキングの上位を占める3人を外し、若手やフレッシュな選手を招集した。一方で、川島永嗣、吉田麻也、長友佑都、酒井宏樹といった従来の主力が先発出場していた。

 膝に不安を抱えるキャプテンの長谷部誠はブラジル戦しか出場しなかったが、特にメンタル面で外せない存在として信頼は揺らいでいないはずだ。その長谷部が今回のメンバー選考について「監督が決めること」と前置きしながら見解を語った。

「全体的に見ると後ろの守備陣はそんなに変わっていないというのはあるので、監督の中では前の組み合わせとか、そういうところでまだまだ競争意識をあおっているなというのを感じますし、もちろん後ろの選手も結果を出さなければ、ましてこういう強いチーム相手に初めて後ろも評価される。これまでそんなに後ろが評価されるような対戦相手とはそこまでしてなかったので」

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