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日本代表 6年前

【識者の眼】不在の欧州遠征で見えた必要性。ハリルJ、本田・香川・岡崎の正しい使い方

text by 河治良幸 photo by Getty Images

鍵を握る12月のW杯組み合わせ抽選。その結果により“ビッグ3”再招集も

ハリルホジッチ
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はW杯本大会で使える攻撃のオプションを探しているはずだ【写真:Getty Images】

 本田は速い攻撃の中でも高い位置にタメを作ることができ、勝負所でプレー精度を落とさずアシストやフィニッシュが狙える。香川は相手の守備のプレッシャーを掻い潜りながら、良い時は普通の選手が突けない狭いスペースで決定的な仕事ができる。岡崎は起点になるプレーと裏へ飛び出す動きを精力的にこなせ、周りの仕掛けにタイミングを合わせるのがうまく、持久力の高さと研ぎ澄まされた観察眼でセカンドボールに飛び込める。

 ただ、本田は第一に相手の裏を狙いたい試合では右サイドのファーストチョイスにしにくく、香川は高い位置からハメるプレスはうまいが、中盤にブロックを作る守備が求められる場合にデュエルが多く発生すると直接ボールを奪えない弱みが出やすい。

 岡崎の場合はハリルホジッチ監督の求める1トップ像に見合わず、大迫勇也が固定的に起用される状況でジョーカー的な位置づけにならざるをえない。そうなると、高さが武器の杉本健勇などの方が違いを生みやすい部分もある。

 ただ、指揮官が“第3のオーガナイズ”として挙げる2トップを採用する試合では大迫と並び立つこともあるかもしれない。香川にしても高い位置からプレッシャーをかけやすい相手が同じ組に入れば、スタメンとして計算されやすくなる。本田は相手CBが屈強で大迫1人では背負い切れない場合に、第2のターゲットマンになることで前線に起点を確保できる。

 ハリルホジッチ監督はアルジェリアを率いてベスト16に進出したブラジルW杯でも試合ごとに4、5人の先発メンバーを変更し、それぞれの相手に合ったオプションの効果が実を結んでいる。それだけに12月の組み合わせ抽選会を受け、W杯本大会でどういう相手を想定した強化プランになっていくか、それに候補の選手がどう応えていくかで最終メンバーも変わってくる。

 少なくとも今回の欧州遠征では攻撃陣が明確な結果を出せなかったことで、海外遠征が見込まれる来年3月の2試合で、本田、香川、岡崎の3人に再びチャンスが回る可能性はかなり高いと見ている。

(取材・文:河治良幸【ブルージュ】)

【了】

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