策にはまってもスタンスを変えられず。相手が見えてなかった浦和
浦和も無策で臨んだわけではない。十分に研究したことは複数の選手が証言している。アル・ジャジーラがカウンターしか狙っていないことは分かっていた。しかし、その一発に沈んだ。
アル・ジャジーラは浦和を良く研究していた。浦和のサイド攻撃が鍵になると見るや、守備時には5バックとなってスペースを埋めた。浦和が意識したのはサイドからの攻撃。術中にはまったのだ。
ボールを保持して攻めながらもどこか崩しきれない要因はここにあった。10本のシュートを放ったが、相手より多いというだけでこれは特段多い数字ではない。「決めきれなかった」と多くの選手が決定力不足を嘆いたが、問題の本質はそこではない。
相手が引いてボールを持たされている状態でも戦い方を変えず、カウンターの脅威がありながらもケアしきれなかった。自分たちのサッカーにこだわるあまり、相手が見えておらず、ゲームの流れも読めていない。実際、失点以外にも危うい場面はあった。
気持ちの部分での緩さとチームとしての油断を指摘したのは柏木陽介。「何のためのACL優勝だったのか」と悔しさを吐露したが、まさにそこに敗因があるのではないか。ACLでの挑戦者としての姿勢はこの日は感じられなかった。
「レアルとやりたかった」。選手らの言葉は偽らざる本音だろう。だが、欧州王者レアル・マドリーと対戦するためには、まずアル・ジャジーラを確実に仕留めなければならない。「油断」という言葉が表すように、無意識に相手を下に見てしまったのではないか。
浦和にとって本当にアル・ジャジーラという相手は存在していただろうか。本気で相手と向き合っていただろうか。すべてを投げ出して勝利に向かった本田らパチューカとはあまりに対照的だ。
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