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日本代表 6年前

日本代表、躍動感生むための監督交代。西野新監督の人物像、日本人が代表を率いる意味【宮澤ミシェルの独り言】

シリーズ:宮澤ミシェルの独り言 text by 青木務 photo by Junichi Ebisawa , Getty Images

監督を代えたからW杯で勝てる、とかではない。でも・・・

 西野さんは、パッと弾ける感じの明るさはないんだよ。情熱っていのはなかなか表に出さないタイプだね。サッカーをイメージでやるタイプというか。96年のアトランタオリンピックでは山本(昌邦)さんと組んでいたけど、ああいう歯切れのいいコーチがいたりすると、すごくいい感覚が出てくるんじゃないかな。

(ヴィッセル)神戸や名古屋(グランパス)では結果を出せず苦労したけど、あの2つの失敗でわかっていると思うよ。モノを伝えるという“ニュアンスのサッカー”はすぐには浸透しないなと。とはいえ、代表チームだとわからない。みんなが表現の仕方を知っているから。長友(佑都)だって本田だって、様々なスタイルのサッカーをやってきている。そういうことを思うと、西野さんもハマるかなと。

 戦い方は(ヴァイッド・)ハリルホジッチさんの時と変わるだろうね。ちょっとザックさん(アルベルト・ザッケローニ氏)の時のようなスタイルに戻すんじゃないかな。日本人にとって何がやりやすいか、というのを西野さんはわかっているよ。選手たちが何をやりたいかも。

 それは日本代表が少しずつ積み上げてきたものなんだけど、ハリルホジッチさんの体制では全くなくなってしまっていた。コンビネーション、サイドのオーバーラップのタイミング、前線が中に入って裏に抜ける動き。1人がダミーでその先にも味方がいるという2段階ポストプレーとか。3人目の動きだね。そういうのが何も出なくなっていたから。

 ハッキリ言って、監督を代えたから今回のワールドカップで勝てる、とかではない。でも、田嶋(幸三)会長の会見での話じゃないけど、少しでも期待感とか躍動感を生むための監督交代だと思う。

 躍動感っていうのは選手たちが作るものだから。南アフリカ(ワールドカップ)の時みたいな、「俺たちを使ってくれるならやってやるよ」という選手たちのエネルギー。その中で組織があって、どういうプレーになるかなという風にやっていくんだけど、今は不安感が先にきてしまっていた。自分たちがやりたいことじゃない、自主性もない。どうするんだ、ということばかり。だから(解任に)踏み切ったんだよ。

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