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代表 6年前

“コロンビアのロナウド”、ムリエル。その潜在能力が解き放たれた時、日本最大の脅威に【W杯 日本を襲う猛獣たち】

シリーズ:W杯 日本を襲う猛獣たち text by 神尾光臣 photo by Getty Images

故障をきっかけに伸び悩むも

ルイス・ムリエル
故障をきっかけに伸び悩むも、マルコ・ジャンパオロ監督の下でプレーしたサンプドリアでは復調を果たした【写真:Getty Images】

 ただそこから先は、様々な理由で伸び悩みを経験した。まずは故障。12年9月に大腿骨骨幹部の疲労骨折を起こし、約3ヶ月の間戦線から離脱する。そこから復帰しての22試合で11ゴールを挙げるなど潜在能力の高さは見せたのだが、翌シーズンはパッとしなかった。

 そしてこの時に、当時ウディネーゼを指揮していたフランチェスコ・グイドリン監督と確執を起こした。レッチェから戻ってくるなりグイドリンは「自分と話がしたければ、少なくとも5キロは減らすべき。しっかりトレーニングをしてアスリートとしての体を取り戻してもらう」とメディアにも公言し注意を即したのだ。

 大食漢で、オーバーウエイトになりやすいことはレッチェの時代から指摘されていた。だがそれをグイドリンが公言したことで、両者の関係はやや複雑なものになってしまった。

「自分の評判を落とされた。実際はベストウエイトから少し太っていたくらいだったのに。僕の場合、少し食べただけで肉がついちゃうんだよ」と彼は地元メディアに語っている。結局ウディネーゼでは芳しい結果が残せず、2015年1月にサンプドリアへと移籍することになった。

 それからも高い潜在能力を持て余しくすぶる日々は続いたのだが、2016-17シーズンにマルコ・ジャンパオロ監督のもとでついに復調した。コンディションをトップに持っていくよう伝えた上で、彼を軸にした攻撃の戦術を組んだのだ。

 左右のオープンスペースに臨機応変に移動させ、中盤で奪ったボールを集める。そしてムリエルの能力は、ショートカウンターの中で最大限に生かされた。本来は右利きだが左足も正確に扱える上に、両方の足で強く正確なシュートを蹴ることができる。ようは、前線のどこの場所に置いてもチャンスを創出できるのだ。

 マークがつけば軽いタッチで引き剥がし、裏に飛び出せば直ちにトップスピードに乗って、相手の守備陣を置き去りにした。

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