フットボールチャンネル

日本代表 6年前

日本代表FKキッカーに適任なのは柴崎岳、そしてもう1人…W杯公式球の特徴から教授が分析【ロシアW杯】

text by 山下祐司 photo by Getty Images,Yuji Yamasita

「無回転のボールを蹴ってもトリッキーな動きは抑えられてしまう」

 前半17分、ゴールから30m以上離れた距離から放たれた本田の無回転のボールは、左に鋭く落ちゴールネットを揺らした。前半29分にはゴール正面、約27mの位置から遠藤保仁の放ったボールは回転して曲がり、ゴール左に突き刺さった。非常に印象的なキックで、だからこそ今回もとFKへの期待は高まる。

 当時の公式球は8枚のパネルを接着させた同じくアディダス社製のジャブラニで、その不規則な変化が話題になった。浅井教授はそのジャブラニと比較して今回のテルスターの特徴をこう説明する。

「ジャブラニはボールの溝が少なく、ボールの形が真ん丸の球体に近かった。こうなるとボールの空気抵抗が低くなる。空気抵抗の低いボールが無回転で進むと、空気の流れがちょっと変わっただけでボールの動きが大きく変化してしまう。だから、真ん丸に近かったジャブラニはトリッキーな変化が起きやすかった。

 今回のテルスターは溝の距離がジャブラニに比べて長く、表面が全体的にざらざらになったので空気抵抗をより受けやすい。だから無回転のボールを蹴ってもトリッキーな動きは抑えられてしまう」

 現代のサッカーボールは5角形と6角形のパネルを32枚縫い合わせた古典的タイプから大きく様変わりしている。トレンドの1つはパネルそのものの数を減らし、形を”純粋”な球体に近づけている点だ。ジャブラニのパネルは8枚、テルスターは6枚にまで減っている。

 しかし、テルスターはパネルを漢字の「井」を彷彿とさせるような特徴的な形にすることで、溝の長さを確保している。浅井教授たちの分析によるとテルスターの溝の長さはジャブラニの2倍を超える。これで無回転ボールのトリッキーな変化は抑えられたのだ。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top