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日本代表 6年前

西野J、見えた戦い方。香川・乾ユニットであえて守備重視、90分間ハイプレスの大博打【日本代表/ロシアW杯】

text by 植田路生 photo by Getty Images

分岐点は60分過ぎ。勝負師・西野朗は何をするか

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西野朗監督は勝負師の本領発揮なるか【写真:Getty Images】

 岡崎慎司の負傷は実に痛い。岡崎もプレスの担い手として有効で、香川との相性も良かった。だが、負傷によりコロンビア戦は絶望的。恐らく1トップは大迫勇也になるだろう。大迫がどれだけ、香川・乾・原口と連動して前からプレスできるかが鍵になる。

 スタミナ面も心配だ。西野ジャパンの調整方法は、南アフリカワールドカップを踏襲している。スイス・オーストリアといった高地でトレーニングをつみ、心肺機能を高めた。より長い時間走れるようになるためだ。コンディションを一旦落とし、徐々に上げていき、初戦にピークをもってくる。

 そのため、かなり走れるようにはなっているはずだが、コロンビア相手に90分間持続するのは容易ではない。特に前線の4人は疲弊し、60~70分で最低でも1枚は交代のカードを切ることになるだろう。そうなるとあまりに駒が少ない。

 ハイプレスを継続するなら、まずは武藤嘉紀だろう。だが、次がいない。本来なら最も有効な浅野拓磨は「24人目の選手」であり、久保裕也も中島翔哉もいない。本田と宇佐美ではハイプレスの継続は難しく、戦い方を変えるしかない。

 このあたりは、西野監督の采配の妙に期待するしかない。得点状況や選手の疲労度で切るカードは変わってくる。ここを最も得意としているのが西野朗という監督だ。ザックジャパン時代、私は西野監督に毎試合インタビューして分析をしてもらっていた。基本的にザッケローニ氏をリスペクトしていた西野監督だったが、唯一苦言を呈していたのが采配についてだった。

 交代カードの遅さ、指示のタイミングには多くの疑問を投げかけていた。人の配置や戦術変更で、試合の流れをガラリと変えられる自信を西野監督は持っている。それこそが勝負師の本懐と思っており、数多くの状況をシミュレーションして豊富な策を用意してくるはずだ。

 最悪の事態は、当初の想定が狂ってしまうこと。ハイプレスがだめだった場合だ。

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