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香川真司、「蹴る気満々」で決めたPK弾。激動の4年経て輝いた日本の10番【ロシアW杯】

text by 編集部 photo by Getty Images

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香川真司【写真:Getty Images】

【日本 2-1 コロンビア ロシアワールドカップ・グループリーグH組第1節】

 日本代表は19日、ロシアワールドカップ・グループリーグH組第1節でコロンビア代表と対戦し、2-1で勝利した。

 日本の10番が、大舞台で輝いた。前半3分、味方が処理したボールを香川真司がダイレクトで前線へ蹴りだす。大迫勇也が相手との競り合いからフィニッシュに持ち込むまで、香川は足を止めることなく追走した。そして、大迫のシュートのこぼれ球を左足で狙うと、カルロス・サンチェスのハンドによりPKを獲得。

 キッカーは決まっていなかったが、ボールを抱えると迷わずスポットへ向かう。「蹴る気満々だった」という10番は、冷静にGKの逆をつきネットを揺らした。ユニーフォームにプリントされたエンブレムに口付けしながらコーナーフラッグのほうへ走り出すと、仲間も次々に集まってきた。日本が、エースのゴールで試合を動かした。

 その後はボールに絡む機会こそ減っていったが、ピッチを至るところに顔を出す。攻撃時はボールホルダーのためにコースを作り、守備時は周りと連動して対応した。70分に本田圭佑と交代するまで、チームのためにプレーした。

 4年前の悔しさを晴らすべく静かに闘志を燃やしてきた。ブラジルワールドカップではいいところなくグループリーグ敗退と、大会前にかけられた異常なほど大きな期待は、あっけなく萎んだ。香川自身、“ブラジル後”は多くの苦難に直面している。

 マンチェスター・ユナイテッドでの挑戦は道半ばで終わりを迎え、ドルトムントに復帰。古巣で活躍し、感覚を取り戻していった。しかし、日本代表ではクラブで見せるようなパフォーマンスを発揮できず、序列は少しずつ下がっていった。さらに今年2月には左足首を負傷。約3ヶ月もの間、実戦から遠ざかることになった。

 それでも、自信は失われていなかった。ワールドカップ直前のパラグアイ戦では高いクオリティを発揮し、心身ともに状態が良好であることを感じさせた。

 そして、コロンビア戦。香川はチームを勝利に導いた。先制のPKは、自身にとってワールドカップ初得点だ。

「ポカールの決勝であったり、チャンピオンズリーグであったり、そういうビッグクラブとやっていてもやはり、この初戦っていうのはちょっと違う雰囲気。ただ、それを自分は自信に変えてやるしかなかったので。いろんな感情は出てきましたけど、逆にそれを抑えるのは大変でしたし、本当にこの1試合に集中すること、ピッチでいつも通り、やり続けることだけを自分に言い聞かせていた」

 もちろん、戦いは続く。「まずはグループリーグを突破すること、そこに目を向けていきたい。本当にいいスタートは切れた。そういう意味では4年前の経験を生かせたのかなと思う」

 西野ジャパンは大事な初戦を勝利で飾り、香川は歓喜の輪の中心にいた。「4年前の初戦は忘れもしない」。日本の背番号10は、ワールドカップで作った借りをワールドカップで返したのだった。

(取材:元川悦子、文・構成:編集部)

【了】

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