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日本代表 6年前

ポーランド戦80分間に凝縮された指揮官の誤算と日本代表の限界【検証・西野J<1>/ロシアW杯】

ロシアワールドカップでベスト16に進出した西野ジャパン。なぜこれまで低調だった日本代表は結果を残すことができたのか。そしてベスト8進出には何が足りなかったのか。短期集中連載でお届けする。(取材・文:植田路生)

シリーズ:検証・西野J text by 植田路生 photo by Getty Images

残り10分よりも「最初の」80分に問題あり

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日本代表【写真:Getty Images】

 ロシアワールドカップでベスト16と結果を残した西野ジャパン。ベスト8まであと一歩と迫ったが、何が足りなかったのか。さまざまな要素があり、1つひとつ検証していく必要がある。そのうちの1つがグループリーグ第3戦・ポーランド戦にあらわれている。

 この試合、西野ジャパンは先発を6人変更。まだ決勝トーナメント進出が決定していない状況でリスクのある選択だったが、西野朗監督は「ベスト16を万全の状態で戦う」とベスト8を見据えた上での決断だったことを明かしている。

 その判断が間違っているとは思わないが、問題は試合内容にある。引き分けでOK、しかも相手のポーランドは敗退が決まっているなかで、低調なプレーが続き、先制点も許す。残り10分の段階で指揮官は苦渋の決断を下す。ボールを回して時間を潰し、0-1を「キープ」した。裏で行われているコロンビア対セネガルは、1-0でコロンビアがリードしており、両試合がこのまま終了すれば日本の勝ち上がりが決まるからだ。

 試合後、この10分間の時間潰しには賛否両論だった。しかし、問題はそこよりも、それまでの80分間にある。順調に思えたチーム作りだったが、誤算が隠されていた。

 これまで出場機会が少なかったフレッシュなはずの選手たちはまったくいいパフォーマンスではなかった。槙野智章と山口蛍は不安定さを露呈し、武藤嘉紀と宇佐美貴史は戦術レベルで香川真司と乾貴士に遠く及ばないことが明らかになった。

 厳しい言い方をすれば、彼らは先発を脅かす存在でもなく、途中で出てきて頼れるような存在でもなく、正真正銘のサブだった。1つ目の誤算がここにある。

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