スアレスは孤立。完璧だったフランスのプラン
ウルグアイはテンション高くスタートすることで序盤はペースを握ったが、プレスを無効化されたことで徐々に勢いを失っていき、20分を過ぎた頃には試合の主導権はフランスのものとなっていた。
ウンティティは24歳、ヴァランは25歳。日本的な学年で言えば、日本代表DF昌子源よりも下となる2人だが、相手の出方に応じて戦略を変え、チームに流れをもたらす様には成熟された巧さを感じさせる。
そして、この試合でフランスにとって最も重要なタスクとなったのは、「スアレスを封印する」ということ。カバーニが負傷によって欠場となっただけに、スアレスを封じることが勝利への道となっていた。
そのために最も必要だったのが、スアレスにボールを入れさせないこと。フランスは、中盤のカンテとポグバ、SBのエルナンデスとパバールがウルグアイの中盤に圧力をかけてパスを封じた。
ウルグアイのパスに関するスタッツを見ると、4-1-2-1-2で中盤の2を務めるベシーノが21本中12本成功で57.1%、ナンデスが28本中19本成功で67.9%とともに低い数字にとどまっている。ポルトガルとの1回戦と比較すると、ベシーノがパス成功率80%でなんですが76.5%となっており、この試合でいかに苦しんでいたかがわかる。
この結果、スアレスは中盤からボールが出て来ず、ウンティティとヴァランに挟まれる形で孤立し、ボールタッチはわずか36回で1本のシュートも放つことができなかった。ポルトガル戦では56回のボールタッチでカバーニへのアシストも記録しているだけに、スアレスにとってフラストレーションの溜まる展開となった。
守備面で完璧にゲームプランを遂行したフランスは、攻撃面でもその力を見せた。中盤で起点となるポグバは、パスレンジの広さを発揮して前線へ鋭いパスを供給する。右ウイングのエムバペは、ポグバからのミドルレンジのパスを受けてドリブルを11回仕掛けるなど、右サイドを制した。
さらにマテュイディの出場停止によって左ウイングで起用されたトリッソは2回の決定的なパスを出すなどパスワークを中心にフランスの攻撃を活性化させた。両サイドの主導権を握ったこともウルグアイの勢いを奪う要因となっていた。