川崎F・家長昭博による“無双のシーズン”への分岐点とは? 32歳で頂点に辿り着いた男の軌跡

2018年のJ1は家長昭博がMVPを勝ち取った。川崎フロンターレを連覇に導いた活躍のターニングポイントとなった試合がある。32歳にしてJリーグ最高の栄誉を手にした家長はどのような思いで2018年を戦ったのか。(取材・文:藤江直人)

2018年12月20日(Thu)11時10分配信

text by 藤江直人 photo Getty Images
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王者への移籍を決意した飢餓感

家長昭博
川崎フロンターレの家長昭博【写真:Getty Images】

 自分自身に対して抱き続ける絶対的な自信と、どんなに結果を出しても満たされることのない成長への飢餓感。二律背反する2つの思いを、18日に行われた年間表彰式「2018 Jリーグアウォーズ」で最優秀選手賞(MVP)に輝いた川崎フロンターレのMF家長昭博は、32歳になったいまも胸中に同居させている。

 自信に関しては、この言葉に凝縮されていると言っていい。史上5チーム目となるJ1連覇を達成した、11月10日のセレッソ大阪戦後の取材エリア。ピッチ上で無双ぶりを発揮し続けた存在感の大きさから、今シーズンのMVPに相応しいのでは、とメディアから問われた直後だった。

「僕が決められるのであれば、いつも僕をMVPにしますけど。まあ、僕が決めることではないので」

 飢餓感に関しては、フロンターレへの移籍を決めた理由に反映されている。大宮アルディージャで自身初の2桁ゴールを達成したのが2016シーズン。揺るぎない居場所を築き上げたはずだったが、それでも家長は延べ9チーム目となる新天地としてフロンターレを選んでいる。

「フロンターレのパス回しやトラップ、ポジショニングというのは、実際に対戦していても細かくて、なおかつ正確で、ボールを奪おうと思ってもまったくできなかった。僕自身は30歳になって、身体能力といったものはもう伸びないと思っている。それでも、パス回しやボールをもらう動きは30歳を超えてももっと成長できる、もっともっと挑戦したいと思ったんです」

 新天地で迎えた昨シーズン。古巣アルディージャのホーム、NACK5スタジアム大宮のピッチに先発メンバーの一人として立ち、57分間プレーした開幕戦を終えた直後から、家長の名前はこつ然と消えた。右足親指のつけ根を痛め、手術を受けたと発表されたのは3月17日だった。

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