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Jリーグ 5年前

札幌チャナティップは「タイのメッシ」でなく、もう1人のイニエスタ。Jリーグが進めるべき補強策【英国人の視点】

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images,Wataru Funaki

外国籍枠のルール変更に賛辞

 マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督は、アジア全土にまだまだ豊富なタレントが埋もれていると考えながらも、選手補強に関しては慣れ親しんだやり方に固執するクラブが多すぎるとも感じている。

「意識の問題に関して言えば、少し勇敢にやる覚悟があるかどうか、少し違ったやり方をできるかどうかだ」。クラブの補強方針の変化になぜ長い時間がかかるかとの質問に対し、元オーストラリア代表監督はそう考えを述べた。

「ある一定の道を進んでいくのは簡単だ。様々な面で結果は保証されている。必ずしも素晴らしい結果ではないこともあるが、それでもある一定の地域から選手を獲得する道を進んでいく者が多い。彼らはずっとそうしてきたからだ。だが昨年のJリーグでチャナティップが見せたプレーを考えてみれば、素晴らしいタレントは他にもいると思う。彼はタイだが、アジアカップでのベトナムの戦いぶりも見ただろう」

 ポステコグルー監督はまた、タイなどの選手たちがチーム内の外国人枠を占めないようにしたJリーグの登録ルール変更に対して賛辞を送っている。そのおかげでマリノスも、昨季際立った活躍をみせた山中亮輔が浦和レッズへと去っていった今回の移籍市場で、経験豊富な代表選手をチームに加えることが可能となった。

「才能を持った選手たちはいる。あとはチャンスを与えるかどうかだ」と彼は語る。

「我々は外国人枠を全て使い切っていたが、そのルールのおかげで非常に埋めにくい穴を素晴らしい形で埋めることができた。新興国のサッカーの発展を助けるだけでなく、自分たちのサッカーにも何らかのものを加えることができる。日本協会のちょっとした発明だ」

「(ティーラトンは)我々のサッカーに合うサイドバックだと思う。攻撃の意識が強く、技術的に優れている。彼と一緒に仕事をしていくのが楽しみだ。チームに何かを加えてくれると思う」

 東南アジアから日本にやって来る選手たちに対し、そういった期待は高まりつつある。チャナティップを筆頭に、彼らは東南アジア出身の選手たちがピッチ上で本格的なインパクトを残すのに十分な力を有していることを証明している。

(取材・文:ショーン・キャロル)

【了】

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