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Jリーグ 5年前

大分FW藤本憲明は「あれは究極だよ。魅力的だよね」。メッシと共通する“感覚”とは?【宮澤ミシェルの独り言】

シリーズ:宮澤ミシェルの独り言 text by 青木務 photo by Junichi Ebisawa , Getty Images

伊藤翔はDFにとって怖い選手

 それから鹿島アントラーズに移籍した伊藤翔。彼は若くしてすごく騒がれて、フランスに行って苦しんで、Jリーグで経験を積んできた。

 彼のここぞという時の落ち着きや、コースを見て打てるところ、キーパーをちょっとかわして打てるとか、そういう感覚はすべての経験が生きているよね。スピードが抜群にあったり、高さがあってというより、サッカー観でよく勝負しているなと。

 自分のサッカー観で出したいものと、実際に出すべきものが噛み合ったんじゃないかな。やっぱり点取り屋に年齢っていうのは関係ないんだね。若い奴は若い時に取っちゃうし、ベテランはベテランで味が出てくるし。

 伊藤は何でもできる選手ではあるよね。ポストプレーができて、前線で体を張れる。スペースに流れてキープもできる。そこに駆け引きも加わってきて、ゴール前に入る神出鬼没さも出てきた。一番いいところを選んで仕事ができている感じがするよね。ああいうストライカーはディフェンスからすると怖いんだよね。

 日本人FWが他クラブから鹿島に移籍することって、そんなに多くなかったと思う。伊藤が点数を取れるという感覚を、鹿島がどこで見たか。いい選手だけど、去年だってマリノスで得点を量産したわけじゃない。ただ、派手じゃないけど点数を取っていて、冷静にコースが見えている。やっぱり鹿島に獲られたという自信もあるだろうね。

 彼はチームというバランスの中で生きる選手。マークするディフェンスにしてみれば、そんなにつきづらい選手ではないと思うし、「何で点数を取られちゃうんだ」という感覚に相手はなると思う。でも、そうやって決めるのもストライカーだからね。経験を積み重ねる中で何かわかってきたのかもしれない。ここにボールがこぼれてくるとか、どこに入ればディフェンスが苦しむかとかが見えているんだろうね。

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