清水・鄭大世が走り続ける理由「僕は夢を見ている」。サッカーで掴んだ両手いっぱいの幸せ

サッカーは夢を与えられるのか。その問いに正しい答えはあるのだろか。1本の記事をきっかけ生じた疑問を、清水エスパルスのFW鄭大世にぶつけた。酸いも甘いも噛み分けた35歳は、サッカーで見た夢と幸せについて惜しみなく語ってくれた。(取材・文:舩木渉)

2019年04月16日(Tue)10時30分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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「人間思い描いたことを実現するには…」

鄭大世
清水エスパルスのFW鄭大世【写真:Getty Images】

 この原稿の着想を得たのは、ある1つのツイートからだった。

「J1の最前線で活躍し続ける選手は当然偉大で価値があるけど、こういうのもそれに匹敵するほど偉大だし、より多くの人に夢と可能性を示してると思う」

 これは清水エスパルスに所属するFW鄭大世が、筆者の「マリノスGKパク・イルギュが開いた夢の扉。地域Lも経験した29歳の挑戦、不断の努力が実ったJ1初舞台」という原稿について投稿してくださったものだ。

 まさか自分の書いたものに、現役Jリーガー、そしてパク・イルギュと同じく在日コリアンとしてのルーツを持つ選手から反応があるとは思っていなかった。なので、そのお礼も兼ねて6日に行われたFC東京との試合後にツイートの140文字に収まらない彼の考えを聞いてみようと鄭大世を直撃した。

「イルギュに関しては、サッカー選手に対して夢を与えていると思うんですよね。子どもじゃなくて、全てのカテゴリの選手たちに対して、『俺もいけるんだ』という道を示したという意味で、すごく偉大だと思う。それにはすごく意味があって、そう(ツイッターに)書きました。

ずっと最前線でやっている中村憲剛さんだとか遠藤(保仁)さんとか、中村俊輔さんとか中澤(佑二)さんとかは、やっぱりトップのトップにいるスターなので、みんなに認知されながら『自分もああなりたい』という夢を与えるかもしれないけど、イルギュにしても、(大分トリニータの)藤本(憲明)にしても、現実的な可能性をみんなに示したと思う。それはものすごく価値があることで。人間思い描いたことを実現するには、『ダメだ』と思ったらダメ。誰も100mで10秒は切れないと言っていたのに、切った瞬間にドバドバ(9秒台が)出てくるわけじゃないですか」

 パク・イルギュがそうだったように、鄭大世もかつては夢を追いかける1人のサッカー選手だった。プロになるという道は、限りなく細く険しかった。だが、川崎フロンターレでJリーガーになると、朝鮮民主主義人民共和国代表として2010年の南アフリカワールドカップ出場やブンデスリーガ挑戦などを次々に実現していく。

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