マリノスはなぜ「完敗」を繰り返してしまうのか。セレッソ戦で顔を出した慢心、貫くべきこだわり

2019年05月16日(Thu)11時00分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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選手交代にも問題あり?

 マリノスのチーム状態を測るバロメーターとも言えるアンカー喜田のパス方向のデータをサンプルとして、セレッソ戦と鹿島戦で比較してみても、2つの試合の違いははっきり現れている。セレッソ戦での「縦パス:バックパス:横パス」の数字(カッコ内は成功率)は「22(91%):8(100%):44(100%)」で、鹿島戦は「31(90%):13(92%):32(100%)」だった。

 パス成功率こそ高い水準で保っていても、鹿島戦に比べて縦パスの数が減り、横パスが増えている。実はこの2試合で蹴ったパスの数そのものは1本しか変わらないが(先に挙げた3つの他にも複数種類のパスがありセレッソ戦は総計95本、鹿島戦は総計94本)、位置取りが低かったイメージそのままにセレッソ戦のプレーの傾向がデータに現れている。

 マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督は試合後の記者会見で「(お互いの)戦術どうこうの問題ではない」とうなだれていたが、逆転勝利の余韻とも言えるわずかな慢心が、失点した後の試合運びを難しくしてしまったとも考えられる。「ブレずに自分たちのやるべきことをやる」という勇猛果敢な姿勢は鳴りを潜めた。そして相手の思い通りのカウンターを受け、最終的にはいつの間にか3失点だ。

「失点してしまうと(ゴールを)取りにいかないとダメ。別に0-0だったらあの感じで回していても絶対何も言われないし、見ている人たちも『今日はマリノスのペースでやられているな』って思うでしょう。むしろ相手はホームゲームですし、勝ちたいという気持ちがあるからどうしても前に出てくると思うんですけど、それで先に1点取られちゃったのが、やっぱりゲームを難しくしてしまったというか。あそこで悠長に回している時間はないじゃないですか。2点取って勝たないとダメなので。

そうなった時に見え方がちょっと違ってくる。0-0の状況でのボール回しと、0-1の状況でのボール回しでは、(今日は)見ている方もやっている方も『あれ!?』って思うじゃないですか。別に回し方とかは俺は問題なかったと思います。ただ状況が状況だったのでもっとボールを前に運ばないとダメだし、前で厚みを持たせて点を取りにいかないとダメなんじゃないのという、そこのところが若干ピッチの中でも消化しきれていなかったし、意思疎通がうまくできていなかった部分かなと思う」

 パク・イルギュの言葉は重い。もちろん選手交代で中盤を1人削ってストライカーを2人並べて4-4-2や4-1-3-2に近い形にしてしまい、ピッチ上で近距離のトライアングルやコンビネーションを作りにくい状況にしてしまったことも「いつも通り」を妨げた要因かもしれない。「焦り」と「勢い」はプレーの見た目こそ似ているようで全く質の異なるもの。自分たちのやるべきことをやりにくくしてしまった姿勢にも課題は残る。

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