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日本代表 5年前

日本代表、4-4-2は適正か(後編)。各ポジションを徹底診断。ボランチへの負担、最大の懸案は?【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

ブラジル代表は3枚でバランスをとっていた

 ボランチは1人が展開力のあるプレーメーカー型、もう1人を守備力のあるタイプにして組み合わせている。プレーメーカー型は柴崎岳、小林祐希、青山敏弘が起用されてきた。大島僚太も候補の1人だろう。比較的人材に困らないポジションかもしれないが、長谷部誠が代表から退いて絶対的な選手はまだ現れていない。守備型のほうは遠藤航、守田英正、三竿健斗らがプレーしてきた。現時点では遠藤が最有力かもしれないが、こちらもまだ競争は続くだろう。

 現状で中島、堂安の両サイドが実質的にウインガーなので、ボランチ2人の守備負担はかなり重い。ネイマール、コウチーニョが両サイドで突破とゲームメークを担当していたころのブラジル代表は3ボランチにしていた。3枚でないとバランスがとれなかったわけで、中島の件と合わせるといずれ4-4-2は維持できなくなるかもしれない。

 サイドバックは右の酒井宏樹、左の長友佑都が実力、経験ともに抜きんでている。ただ、資質的に日本人に向いているポジションなので層は厚い。室屋成、佐々木翔が現状の二番手。長友とよく似ている吉田豊、親善試合で招集された安西幸輝、山中亮輔など、左サイドは充実している。

 日本で最も層の薄いポジションがセンターバックとGKである。ロシアワールドカップでベルギーのハイクロスに流れを変えられて逆転負けしたことを振り返っても、最大の強化ポイントといえる。ポジションとしてセンターバックとGKが弱点なのは単純に体格の差が大きい。Jリーグのプレースタイルの影響もある。長身選手は増えてきたが、まだ層は薄く、ヨーロッパで活躍している選手も少ない。

 センターバックは冨安健洋の台頭があった。高さやパワーでヨーロッパのセンターバックと比べても見劣りせず、スピードも技術もある。年齢も若く、代表の守備の中心となるべき選手だ。ロシアワールドカップのレギュラーで唯一の国内組だった昌子源もトゥールーズへ移籍して経験を積んでいくだろう。重鎮の吉田麻也のほかにも、若手がヨーロッパでプレーしており、三浦弦太などJリーグでもサイズのあるセンターバックが増えてきたのは良い傾向だ。

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