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日本代表 5年前

闘莉王が説いた「弱者の戦い方」。南アW杯が繋いだ日本サッカーの未来【日本代表平成の激闘史(10)】

シリーズ:日本代表平成の激闘史 text by 元川悦子 photo by Getty Images

最後の国際Aマッチに

 準優勝したにも関わらず、地元メディアに「クソみたいなサッカーだ」と酷評されていたが、さすがに日本戦では積極的な戦いを仕掛けてきた。ロビン・ファン・ペルシーやウェスレイ・スナイデルといったタレント軍団に攻め込まれ、耐える時間が長く続いたが、前半0-0で終了。しかし後半開始直後の8分、ミスが続いてスナイデルに先制点を奪われてしまった。

 この約10分後に岡田監督は「前線でのタメとセットプレーに期待した」と中村俊輔を松井に代えて起用。流れを変えようとしたが、狙い通りにはならず、中村はこれが最後の国際Aマッチとなってしまう。

 その後、相手がエライロ・エリアを投入し、攻撃を活性化させてきたことで苦境を強いられる。これにはエースキラー・長友を右に回す采配でしのぎ、終盤には岡崎と玉田圭司を送り出したが1点が遠い。2戦目は悔しい黒星に終わった。

 この時点でオランダの突破とカメルーンの敗退が決定。2枠目を日本とデンマークが争うことになった。6月24日の第3戦に全てを賭けた日本は過去2戦の4-3-3から4-2-3-1へと布陣を変更。勝ちに行くつもりで試合に挑んだ。が、2列目を自由に動き回るヨン・ダール・トマソンを捕まえられず、再三のピンチを招く。

 ピッチ上で危機感を覚えた遠藤らが10分を過ぎたあたりで岡田監督と意思疎通を図り、アンカーシステムに戻したが、この判断が遅れていたら日本の16強入りはなかっただろう。

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