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オスカルのPK止めたマリノスGKオビ。自信深めACL決勝Tへ「GKの1つのプレーで流れを変えられる」

text by 編集部 photo by Yokohama F.Marinos

オビ・パウエル・オビンナ
【写真提供:横浜F・マリノス】

 横浜F・マリノスは、クラブ史上初めてのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント進出を果たした。ホーム&アウェイ方式だった例年と違い一発勝負となるラウンド16では、韓国の強豪・水原三星ブルーウィングスと対戦する。

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 グループステージ首位突破の立役者の1人は、間違いなくGKのオビ・パウエル・オビンナだ。ACLデビューとなった再開初戦の上海上港戦では、終盤に元ブラジル代表MFオスカルのPKを止めて1-0の勝利に貢献。4試合中3試合に出場し、勝ち点6の上積みに大きく貢献した。

「まず初戦が一番難しい試合になると思っていて、なかなか点も入らず、試合展開的にも難しかったですけど、PKになった時に、ああいう形でピンチになるのは試合前から準備していたと言いますか。Jリーグとは違う判定だったり、相手がすぐ倒れるのもあったので、特に焦らなかったのも(PKを)止められた要因の1つだと思います」

 流通経済大学からマリノスに加入した今季開幕当初、オビはパク・イルギュや梶川裕嗣らに次ぐ3番手か4番手という評価だった。8月頭にはJ2の栃木SCへ育成型期限付き移籍も経験。10月末にマリノスへ復帰することとなったが、来年1月末までだったレンタルの予定を早めに切り上げたのは、相次ぐ負傷者の穴埋めだと見られていた。

 ところが復帰して約2週間後、11月14日に浦和レッズ戦で先発に抜てきされてJ1デビューを果たす。そして続く川崎フロンターレ戦にも起用され、敗れはしたものの、終盤に日本代表FW小林悠が蹴ったPKを見事にストップしていた。

 そしてACLでも梶川や新加入の高丘陽平らを抑えてGKのファーストチョイスになり、上海上港戦では公式戦2試合連続となるPKストップ。オビは一躍ヒーローになった。

「この状況になるのが簡単ではないのはわかっていました。栃木に行く前にいきなりこの状況になったら、自分の中でも焦りや緊張があったかもしれないですけど、こうなるために栃木に行きましたし、向こうでプレーしている時も、いろいろいいプレー悪いプレーありましたけど、常にJ1やACLで自分がどう戦うかを考えながらやっていたので、心の準備はしていました」

 常に視線を高く保って準備してきたからこそ、周囲を取り巻く環境が劇的に変わっても自分を見失うことなくプレーできている。今のオビは、試合経験を積むごとに自信を深め、急速な成長を遂げている。

 次なる戦いの場は、一発勝負の決勝トーナメントになる。ワクワクと緊張は「どっちもって感じですね」というオビは、改めてACLのタイトル獲得に向けた意気込みを語った。

「もちろん楽しみたいですし、優勝するために来ていますけど、優勝するためにはまだ試合は続きます。まずは目の前の一戦をどう戦うかということと、試合で悔いの残らないプレーをしなければいけないので、一戦一戦を大事にして、戦って、勝った先に次のステージがあると思いながらやっています」

 一発勝負の場では、ゴールを奪うだけでなく、GKがピンチを阻止することでも勝利を引き寄せることができる。最後方の守護神も試合の勝敗を左右する決定的な存在になれるし、ならなければならない。当然、要求されるプレーのレベルは数段上がってくる。

「GKの1つのプレーで試合の流れを変えられると思いますし、やはり後ろが安定してやっていることによって、攻撃の選手も自信を持って(試合を)進められると思います。後ろが無失点を続けていれば、マリノスのサッカーならいずれ相手の壁を崩せるので、本当に安定した守備を見せることが大事。あとは本当にリーグ戦とは違って、1つの失点が時間が経つにつれて痛くなってくるので、失点をしないことをチーム全体で意識してやるのが大事かなと思います」

 オビは初挑戦のACLでどこまで成長するだろうか。天井知らずのポテンシャルを秘めた若き守護神の活躍は、マリノスが頂点を極めるために絶対必要な要素だ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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