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天野純の「見えている」感覚とは? 一瞬の判断にも好調の証…決して簡単ではなかった今季初得点

text by 舩木渉 photo by Getty Images
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【写真:Getty Images】

 明治安田生命J1リーグ第13節が9日に行われ、横浜F・マリノスがヴィッセル神戸を2-0で下した。絶好調のマリノスはリーグ戦4連勝を達成し、さらに無敗記録も11試合に伸びた。注目の上位対決を制す立役者となったのは、MF天野純だ。

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 トップ下で先発していたMFマルコス・ジュニオールにアクシデントが起こり、20分から急きょ途中出場した天野は、すべての得点に絡む大活躍。80分には自らゴールネットを揺らし、勝利を大きく手繰り寄せた。 

「マリノスには質の高い選手が揃っていますし、最近はリーグ戦にスタメンで出ていないですけど、ルヴァンカップも含めて、ピッチに出た時に自分の質をしっかり監督やコーチングスタッフ、そしてサポーターの皆さんに見せつけて、『やっぱり天野純がいいんじゃないか』という思いにさせるというか、そういったことの繰り返しを今は自分の中でできている実感があります」

 リーグ戦は途中出場がメインの天野だが、これまでも決定的な活躍を連発してきた。神戸戦のプレーも、彼の好調ぶりをよく表していたと言えるだろう。「何よりも今はサッカーが非常に楽しいし、試合の中で楽しんでできているので、それが今のいいプレーができている大きな要因の1つ」と語る天野が精神的にも非常に充実した状態にあることは、プレーの判断や発する言葉の端々からも感じられる。

 41分に生まれたマリノスの1点目は神戸のDFトーマス・フェルマーレンのオウンゴールだったが、起点になったのは天野のサイドチェンジだった。右サイドバックのDF松原健から、ハーフウェーライン手前で縦パスを引き出した天野は、ゴールに背を向けた状態からワンタッチ目で前を向くと、次の瞬間、ロングパスで一気に左サイドのスペースへボールを展開した。

 そこには左サイドバックのDFティーラトンが走り込んでおり、元神戸のタイ代表DFの放ったクロスがフェルマーレンのオウンゴールを誘発した。

「(松原)健からたまたまいいボールが来たので、ブンちゃん(ティーラトン)が奥で走っているのが見えて、あとは(オナイウ)阿道が(ゴール前に)入り込んでくれたので、よかったです」

 ファーストタッチの時点では右サイドにいた天野の広い視野には、逆サイドを駆け上がるティーラトンの姿がしっかりと捉えられていたのである。

 さらに2点目の場面では、瞬時の判断が求められる状況でも視界がクリアに保たれ、冷静に判断できていたことがわかった。FWエウベルが放ったシュートのこぼれ球に、いち早く詰めた天野はシュートブロックに入ったDFの動きを見極め、左足アウトサイドでボールに触ってゴールの隅にシュートを流し込んだ。

「エウベルがシュートを打って、こぼれ球のところで、誰よりもいち早く反応しようという意識は非常にあって、あそこにいたというのも1つのポイントだと思う。ゴールカバーが1人入ってきたので、普通に詰めてもこれは弾かれるなと思ったので、なるべくゴールの隅に蹴り込むような形で蹴ったら入った感じですね」

 ゴール前の混戦のなかでも、極めて冷静に状況判断ができているのは好調な証。天野は「非常に今は『見えている』し、落ち着いてできているので、いい感じできています」と、自身の状態への手応えを口にした。

「結果は残せましたけど、出場した70分くらいの中でもっともっとできたと思うし、ファン・サポーターにもっともっと見ていて面白いと思われる選手になりたいと思っているので、そのためにはもっとやることがたくさんあるし、もっともっと圧倒的な存在になっていきたいと思っています」

 他の選手とは違うものが「見えている」感覚は、今の天野にしかない特別なもの。負傷交代したマルコス・ジュニオールの状態も心配されるが、心身ともに絶好調な背番号14がいればマリノスの快進撃は問題なく続いていくだろう。

(取材・文:舩木渉)

●正確無比のロングパスと、冷静なゴール。神戸戦で2得点に絡んだ天野純のプレーがこれだ!

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【了】

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