フットボールチャンネル

Jリーグ 3年前

柏レイソルの逆襲が楽しみだ。ブラジル人FWの存在感が絶大、オルンガなき後の救世主に【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

結果を残した「柏の救世主」



 前半はスコアレスながら、内容的に柏がかなり相手を押し込む形で後半に突入。53分には待望の先制点を挙げる。ディエゴ・ピトゥカがエヴェラウドに出したパスを上島拓巳が奪ったところが全ての始まりだった。J1で5戦ぶりに先発した背番号44がカットしたボールを、戸嶋が右サイドを猛然と駆け上がるクリスティアーノに展開。完全フリーになった背番号9は自らドリブルで持ち込んで右足を振り抜いた。「私はチームを救うためにここにいる」と言い切る男の一撃で、柏は首尾よく先手を取った。

 さらに大きかったのが、4分後の追加点だ。このシーンでも最初のパスを供給したのは戸嶋。再び右サイドに開いたクリスティアーノがボールを受けた瞬間、右DFの大南拓磨がスルスルと縦に走りこむ。中央で待ち構えていたペドロ・ハウルにラストパスを出すと、背番号23は狙い済ましたように右足を一閃。6月27日の湘南ベルマーレ戦の2発に続く今季3点目をゲットし、チームに大きな弾みをつけた。

「クリスティアーノと拓磨のコンビが素晴らしく、私はマイナスのボールをしっかりコントロールできました」とコロナの影響で合流が4月末にずれ込んだ新ブラジル人FWは安堵感を吐露した。彼にしてみれば、前半から何度もゴール前に飛び込み、あと一歩というチャンスを迎えていたのだから、この得点がどれだけ嬉しかったか分からない。最終的に犬飼智也に1点を返され、自らの一撃が決勝点になったことも自信につながったはずだ。8月の中断後にはこの男が「柏の救世主」になりそうな予感も感じられた。

 実際、最前線に陣取るペドロ・ハウルの存在感は絶大だった。単に高さで競り合いの強さを見せるだけでなく、足元の技術の高さを生かして低い位置から運んでいた。味方のチャンスのお膳立てにも関与し、前からボールを追う献身性も兼ね備えていた。ハードワークができ、フォア・ザ・チーム精神を持つ選手という意味では、柏で7シーズンプレーするクリスティアーノに通じる部分があると言っていい。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top