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Jリーグ 3年前

ガンバ大阪は「足りないものは数えきれないくらいある」。現状を象徴する宇佐美貴史のプレーとは…【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

耐えるガンバ大阪、前向きな要素は…



 4バックをベースにしつつ、攻撃時に3バックを併用する可変性システムの浦和に対し、ガンバは序盤から対処に苦慮した。長短のパスを使い分けながらサイドを攻略し、前線の明本考浩、江坂任らに合せてくる相手のやり方を分かってはいたものの、出どころに効果的なプレスをかけられない。結果としてズルズルとブロックを下げざるを得ず、防戦一方の展開を強いられた。

 得点の可能性が感じられたのは、27分のウェリントン・シウバのシュートシーンくらい。右寄りの位置から山本悠樹から宇佐美貴史へパスが入り、そこからパスを受けた背番号28がペナルティエリアライン付近から右足を振り抜いた。しかし、それ以外の攻撃は単発的な印象が拭えず、頼みのウェリントン・シウバも対面にいる酒井宏樹の守備に阻まれ、決定的な仕事をしきれなかった。前半の支配率は浦和の59%に対し、ガンバは41%。シュート数も13対1。数字上にも苦戦ぶりが明確に表れていた。

 浦和の決定力不足に助けられる形で迎えた後半。松波監督はJ1初スタメンの白井陽斗に代えてパトリックを投入。これで前線が多少なりとも活性化し、宇佐美もシュートへの意欲を見せ始めた。

 飲水タイム後にはケガで長期離脱していた福田湧矢が5か月ぶりにJ1の舞台に登場。サイドでアグレッシブな姿勢を見せ、39分には惜しいシュートを放つなど、気迫を押し出した。依然として浦和に主導権を握られてはいたものの、「何とか耐えて勝ち点を取る」という強い意識がチーム全体から感じられたのは、前向きな要素だった。

 これが終盤の展開につながったのかもしれない。

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