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Jリーグ 3年前

ガンバ大阪は「足りないものは数えきれないくらいある」。現状を象徴する宇佐美貴史のプレーとは…【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「足りないものが多すぎる」



「奪った後の攻撃のスピードを上げたり、ボールを握った攻撃をもう少し構築していくことが課題。個人個人はボールを持てる力もありますし、攻撃が好きな選手たちなんで。やっぱり先に先制するために、もう少しボックス近くの質を上げていければと思います」と松波監督は話す。ボール保持率を上げ、敵陣深い位置に侵入する時間を長くしなければ、フィニッシュの回数も増やせない。

 宇佐美がゴール前に顔を出すシーンが少ないのは、今のガンバを象徴する現象の1つと見ていい。特に浦和戦前半の彼は下がって組み立てに忙殺されており、切れ味鋭いフィニッシュが影を潜めた。それが今季の4ゴールという数字にも表れている。

 パトリックの得点数が今回のPKによって9となり、2桁まであと1つに迫ったのは朗報だが、他の得点源が少ないのはやはり問題。彼らの総得点26というのは大分、仙台に次いでリーグで3番目に少ない。この問題をクリアしない限り、早期のJ1残留決定、そして名門復活への布石は打てないだろう。

「たぶんJリーグ屈指のあれだけすごいメンバーがいるのに、足りないものが多すぎるからこの順位にいるわけで。足りないものは数えきれないくらいあるんで」

 福田がそう言ったように、宇佐美や倉田秋、井手口陽介ら日本代表経験のある面々はみな歯がゆい思いをしているはず。彼らを見守っているサポーターもそうだろう。だからこそ、彼らは必ずJ1にとどまり、復活へののろしを上げなければいけない。

 浦和戦で手にした勝ち点1をムダにしないためにも、プレスのかけ方やチーム全体の立ち位置など守備面での問題点を改善しなければいけない。支配率を引き上げ、宇佐美やパトリック、ウェリントン・シウバらアタッカー陣の迫力がより発揮できるような形に持っていくこと。そしてゴールという結果を残すこと。それが彼らに課された緊急課題である。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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