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Jリーグ 2年前

「ワクワクがない」。なぜ大久保嘉人はJリーグに物足りなさを感じるのか? 自ら示したあるべき姿とは…【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

無冠のまま引退するのか。それとも…



 浦和は浦和で盟友・阿部勇樹の引退、槙野智章や宇賀神友弥らの退団という大きなモチベーションがあるため、凄まじい迫力でぶつかってくるだろうが、大舞台になればなるほど結果を出すのが大久保だ。彼自身が見る者をワクワクさせ、仲間たちを魅力的なフットボーラーへと進化させるべく、持てる力の全てを注ぎ込むに違いない。

「我々のカギは守備でも攻撃でも前方向に矢印を向けること。そこが生命線だと思っています。清水戦では攻守両面で課題が出た。今一度、全員で共有して、前への強い矢印を出せるかどうか。それが次の天皇杯の勝敗を大きく左右するところだと思うので、もう一度、突き詰めていきたいと思います」

 小菊監督も神妙な面持ちで語っていたが、ボール支配率で相手を上回っていても、横パスやショートパスをつないでいるだけでは、相手ゴールをこじ開けられない。そして逆にカウンターを繰り出されて失点という最悪のパターンにはまりかねない。今回の清水戦はまさにそうだった。その悪循環から抜け出すためにも、セレッソらしい縦への推進力を取り戻す必要がある。

 そのキーマンとなるのが大久保だ。彼がイキイキとゴール前でプレーできればできるほど、勝利の確率が高くなる。その結果がタイトルという成果になるのだ。

 大久保嘉人ほどの偉大な点取り屋を無冠のまま引退させていいはずがない。今こそ、セレッソは天皇杯獲得に向けて奮起すべきだ。泣いても笑っても、現役選手の彼ととともにプレーできるのは最長2週間。その一瞬一瞬を大切にして、大願成就へとつなげてもらいたい。

(取材・文:元川悦子)

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