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Jリーグ 2年前

浦和レッズの未来を担う男の決意とは…。さらなる変革へ、躍動した阿部勇樹の後継者たち【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

躍動する阿部勇樹の後継者たち



 早い時間帯にリードを奪い、優位に立った浦和はその後もいいペースで試合を運んだ。ボランチ・伊藤は13分に強烈なミドルシュートをお見舞いするなど、積極的に前へ出ていく。柴戸も中盤の底として力強さを発揮。球際の強さや的確なボール奪取で見る者を魅了する。

 この日ベンチ外となり、スタンドで見守っていた阿部勇樹の後継者たるべき面々は、自分たちが何をすべきかよく理解していたのだろう。前半の彼らからは逞しさと頼もしさが大いに感じられた。

 後半に入ると大分がダブルボランチ型の4-4-2に変更してきたこともあり、巻き返しを許す格好になった。とりわけ、左足の名手・下田北斗のリスタートは脅威だった。何本かあった鋭いCKはゴール前で西川周作がセーブしていたが、片野坂知宏監督は長身FW長沢駿を投入し、さらには最終ラインを統率していたエンリケ・トレヴィザンらを前に上げてパワープレーに打って出た。

 浦和のリカルド・ロドリゲス監督はこれを守り切ろうと終盤に槙野を投入。5バックにする策を講じた。が、後半45分に差し掛かろうというタイミングでFKの流れからまさかの失点を喫してしまう。ペレイラの同点弾が生まれて1-1となり、延長ムードが色濃く漂った。

 しかし、そこで奮起したのが槙野だった。西川に「試合、どうする?」と尋ね、「あと5分あるから決めてきていいよ」とお墨付きをもらった背番号5は、自らがヒーローになるつもりで前がかりになった。そして迎えた右CKのチャンス。途中出場の大久保智明が蹴ったボールを相手がクリアし、こぼれたところに反応した柴戸がペナルティエリア外から左足を一閃。このミドルをゴール前でコースを変え、決勝弾を叩き出したのが槙野だった。

 殊勲のお祭り男は茶目っ気たっぷりに、次のようにコメントした。

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