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Jリーグ 2年前

遠藤保仁が見せた40代なりの戦い方。ジュビロ磐田はどう生かすのか? 静岡ダービーで放った異彩【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

攻撃のリズムを作る遠藤保仁



 磐田の基本布陣は3-4-2-1だが、攻撃時は右の鈴木雄斗が高い位置を取り、右DF伊藤槙人が右サイドバック(SB)のように開く。4バックに近い形で最終ラインから丁寧にビルドアップしながら主導権を握り、人数をかけて敵を押し込んでいくという伊藤監督の戦術を選手たちが理解、実践しようとしていることが強く伺えた。

 だが、前に人数をかける分、守備のリスク管理が難しくなりがちだ。開始9分の清水の先制弾はそれを象徴していた。杉本のパスが流れ、神谷優太に拾われ、最前線の鈴木唯人にパスが渡った瞬間、磐田はDFの山本義道が入れ替わられる形になってしまった。そのまま清水の若き背番号23にゴールを沈められ、磐田はまさかのビハインドを背負ってしまう。

 その後も何度か清水にショートカウンターを繰り出されたが、磐田も右サイドを起点に応戦。23分には大井健太郎の浮き球のロングパスに反応した鈴木雄斗がテクニカルな右足ボレーをお見舞い。1-1の同点に追いつくことに成功する。

 こういう展開になれば、中盤の司令塔もノッてくる。32分には左の大森から受けた浮き球のボールをワンタッチでフリックし、ゴール前の金子に流すという芸術的なプレーを披露。さらに38分には狙いすましたミドルシュートでゴールを狙う。直後には自らの精度の高いFKで守護神・権田をヒヤリとさせるシーンも作った。

 J2制覇を果たした昨季もそうだったが、遠藤がゴールに近い位置で気持ちよくプレーしている時間帯は磐田全体のリズムもいい。悪くない内容の前半45分間はそんな印象を見る者に与えたのではないか。

 後半もそのままの流れで行ければよかったが、清水は武器である若さと強度、推進力を前面に押し出してきた。それを象徴したのが、後半6分の中山克広、滝裕太の2枚投入だ。走れる若手を前に置いた彼らは前線からの一層のハイプレスを仕掛けてくる。これが勝負の分かれ目だったと見る向きもある。

 伊藤監督は試合後、次のように反省点を口にした。

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