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Jリーグ 2年前

遠藤保仁が見せた40代なりの戦い方。ジュビロ磐田はどう生かすのか? 静岡ダービーで放った異彩【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

ジュビロ磐田が目指すサッカー



 ただ、今回は時間の経過とともにインテンシティーや運動量で徐々に劣勢を強いられた。その結果、磐田は後半22分に敵の一発を浴びることになる。

 最終ラインのクリアを神谷と鈴木唯人につながれ、最終的に神谷のラストパスを左で受け、フィニッシュを決めきったのが途中出場の中山。「瑛ちゃん(片山)がすごくいいランニングをしてコースを空けてくれた。ボールを置く位置がすごくよかったのでこのまま打てば入ると思った」と満面の笑みでコメントした清水の11番の一撃が決勝ゴールになってしまった。

 その後、磐田は山本義道が2枚目の警告を受けて退場。杉本と代わったファビアン・ゴンザレスもレッドカードを突き付けられ、9人での戦いを強いられた。遠藤も36分に小川大貴と交代してベンチで戦況を見守り、3年ぶりの静岡ダービーは1-2の黒星。苦い結末を迎えることになった。

「ジュビロはJ2から上がってきたチームなんで、1試合1試合の積み重ねが大事。J1はそんなに甘くないので、残留という最低限の目標を目指しながら、ジュビロらしいサッカーをこの1年で示せればいいと思います」

 遠藤はプレシーズン期間にこうコメントしたという。つまり、それほど焦ってはいないということだろう。伊藤監督就任からまだ1カ月半しか経っていないのだから、いきなり完成形を見出そうとしても難しい。それを長年の経験から分かっているからこそ、1つ1つの試合をどう次に生かしていくかが肝要だと言いたかったのだ。

 縦への推進力を武器とする清水のような相手との戦い方を経験した彼らにはまだまだ先がある。3月5日の対戦する京都サンガも似たような特徴を持つ相手と言っていい。同じJ1昇格組には絶対に負けられない。早く勝ち点3を手にして、伊藤監督のスタイル構築を加速させるべく、百戦錬磨の遠藤がもたらせるものは少なくない。彼自身のJ1再挑戦も含め、今後の動向が大いに気になる。

(取材・文:元川悦子)

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