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岩田智輝が抱く違和感の正体とは? 横浜F・マリノスは低調続き「同じ『画』を持てていない」【ACL】

text by 編集部 photo by Getty Images

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岩田智輝
【写真:Getty Images】



岩田智輝がベトナムで悩まされていることとは?

 横浜F・マリノスは22日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージ第3節でシドニーFCに1-0の勝利を収めた。



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 序盤から苦しい展開になったが、マリノスは途中交代選手たちが試合の流れを変えて勝ち切った。70分からMF渡辺皓太との交代で出場したMF岩田智輝は「フィールドプレーヤーにエナジーを、パワーを与えてくれと言われました。自分がアグレッシブにいくことで周りを助けられると思ったので、常に相手ボールの時は奪いにいく姿勢は見せようと思っていました」と語る。

 まさにその言葉の通り、岩田やMF水沼宏太、FW西村拓真、DF角田涼太朗といった途中出場の選手たちが勝利の立役者となった。

 しかし、相変わらずチームとしての課題は多い。グループステージ3試合で奪ったゴールは全てセットプレーから。Jリーグではアタッキング・フットボールで圧倒的な攻撃力を見せつけているマリノスだが、アジアの舞台では攻撃が停滞している。

 ここまで全3試合に出場している岩田も、もどかしさを感じながらプレーしている様子。シドニーFC戦後には攻撃が噛み合わない要因について「やっぱり、みんなが同じ画を持てていないというのが一番なのかなと思います」と述べ、次のように続ける。

「やろうとしていること、相手陣内でボールを素早く持つというのはみんなわかっているんですけど、そこからどうやって崩すかというのは(課題になっている)。やっぱりちょっとのズレで、技術ミスもありますし、そういうところを(なくそうと)突き詰めていかないと。それで流れを悪くしてしまっている部分があるので」

 Jリーグでできていたことが、ACLグループステージ開催地のベトナムに来てからなかなか発揮できずにいる。DF永戸勝也も、「同じ『画』を持てていない」という岩田に似た感覚を持っているようで「相手がなかなかコンパクトにしてこない中で、自分たちも引き延ばされちゃっているような感覚はあります。もうちょっと前と後ろの息を合わせてコンパクトにすることは大事かなと思います」と話していた。

 なぜ選手たちの間に「ズレ」が広がってしまっているのか。個々の技術的なミスやちょっとしたイメージとプレーの噛み合わせの悪さもさることながら、今大会においては外的要因も大きそうだ。岩田は次のように指摘する。

「やっぱり環境じゃないですかね。ボールもピッチも違いますし、この暑さの中でハードワークするのはかなりエネルギーを使う部分です」

 ボランチとしてプレーに関わる回数の多い岩田が最も強く感じているのは、「ボール」の違いだ。「タッチの感覚が全然違うんですよ。ちょっとしたトラップでもバインッって跳ねちゃうし、跳ね返りがすごい」と、まだ適応しきれていない現実の苦しさを吐露する。永戸もシドニーFC戦前に「ボールが普段と違うので、ちょっと軽くて跳ねやすい」と話していた。

 他の選手たちも、それぞれ環境への適応に手間取っているようだ。3月にU-21日本代表の一員として中東UAEのドバイで熱い環境での試合を経験しているMF藤田譲瑠チマですら「ベトナムはずっとジメジメしているので、息が上がったらなかなか戻らなかったりして、こっちの方がキツいかなと思います」と語った。

 日中は気温が35度前後になり、日が沈んでからも30度前後で異常に湿度が高い。風がなければスタジアム内は常に蒸し風呂状態になる。座っているだけでも汗が止まらず、水を飲んでも全て汗になってしまうほどの不快な暑さに大いに苦しめられている。

 ただ、選手たちは環境を言い訳にするつもりはない。練習場のピッチがいかにボコボコだろうと、試合の時しかスタジアム使えず、中2日の過酷な日程でピッチ状態がどんどん悪くなっていこうと、それはケヴィン・マスカット監督も度々口にしてきた「自分たちにコントロールできない部分」でしかない。

 蒸し暑さもピッチも過密日程も、突きつけられた条件は全てのクラブに共通している。ゆえにいち早く適応し、普段通りのサッカーができるようになったチームが決勝トーナメント進出の権利獲得に近づける。

 水沼も「日本でもやってきたものを出すことが、自分たちが今一番変えなければいけないところ」と強調する。これがまさに再び「同じ『画』を持つ」ことに他ならない。そのうえで「もっともっと圧倒していく力は僕たちにはある。どんなにキツい状況でも、相手もキツいのは同じなので、上回っていければ、きっといい残り3試合ができると思います」と述べた。

 シドニーFC戦で今大会初先発だった渡辺は、自らのプレーに納得できない中で「まずは誰が出てもいいように準備すること。しっかり回復して、この試合で出た課題、最後のところの(フィニッシュの)精度を全員が意識して、何とか流れの中で崩して点を取りたいなと思います」と今後の戦いに向けて力強い決意を口にしていた。

「自分たちはここに全部勝ちに来ている。勝ちと引き分けでも大違いだと思うので、勝ちにはこだわってやっていきたいと思います」

 そう語ったのは岩田だ。残り3試合、苦境を乗り越えたマリノスのアタッキング・フットボール復活と決勝トーナメント進出の達成を信じたい。

(取材・文:舩木渉)

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