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Jリーグ 2年前

「これこそがダービーマッチ」。浦和レッズ対鹿島アントラーズ、なるべくしてなった結末【英国人の視点】

シリーズ:英国人の視点 text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

対照的だった両指揮官



 全てがアントラーズにとって順調に感じられるまま、ハーフタイムが近づいてくる。だが中断1分前となったところで、関川郁万の曲げようとした腕に明本考浩のクロスが当たったとして浦和にPKが与えられる。やや厳しい判定であり、VARレビューも必要とされたが、西村雄一主審はプレーを戻してスポットを指差すことになった。

 鈴木とアルトゥール・カイキは、なんとかアレクサンダー・ショルツの注意力を逸らそうと試みていた。だが、6年前の対戦で槙野智章が仕掛けた同様の作戦を意に介さず鈴木がPKを決めたのと同じゴールに、今回のショルツも動じることなく冷静にシュートを突き刺してみせた。

 リカルド・ロドリゲスのチームはこれで一命をとりとめ、ゴールを決めたことで勢いも増していく。レッズははるかに積極性を高め、後半は非常に見応えのある拮抗した勝負となった。

 両監督はどちらも試合中のほとんどの時間、テクニカルエリアぎりぎりからプレーを見守り指示を送っていた。ロドリゲスは盛んに飛び跳ね、あちらこちらへ動き回りながら、選手への指示やジェスチャーや激励を止めようとはしない。

 一方のレネ・ヴァイラーは学者然とした佇まいで腕を組んで立っており、指定された長方形エリアの左隅から2、3歩以上移動することは滅多になく、目の前の試合展開を精査し続けていた。

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