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Jリーグ 2年前

「これこそがダービーマッチ」。浦和レッズ対鹿島アントラーズ、なるべくしてなった結末【英国人の視点】

シリーズ:英国人の視点 text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

優位に立った鹿島アントラーズ



 だが、ひとたびキックオフの笛が吹かれればそんな背景事情も全て二の次となり、両チームとも猛烈な勢いでぶつかり合う。受け身なポゼッションやチェスのような戦術の駆け引きが大半の時間を占める試合が一般的なこのリーグではなかなか見られない気迫だ。

 荒々しい戦いを繰り広げながらも鹿島は前半から非常に動きが良く、アルトゥール・カイキのゴールで早い時間に先制してからは終始試合を支配しているように感じられた。スタジアム南東の一角からファンが打ち鳴らしていた迫力ある太鼓のリズムに後押しされるかのように、攻守両面において優位性を示していた。

 レッズはボールを落ち着かせる時間を与えてはもらえなかった。鹿島は執拗にプレスをかけ、タックルを繰り出し、ホームチームはボールを持ったかと思えばすぐに手放すことを強いられる。西川周作のゴールキックに対してまでも、鈴木優磨がペナルティーエリア手前から睨みをきかせる。アントラーズが攻撃に転じれば、毎回のように冷静かつ危険に感じられた。

 それを可能としていたのは、強固な背骨の存在による部分が大きかった。三竿健斗はCBでのプレーにますます慣れてきており、相手FW陣との荒っぽい立ち回りを非常に楽しんでいるかのようだ。ディエゴ・ピトゥカも同じく接触プレーを厭わず、デュエルを重ねるごとに強さを増していく。そして前述の鈴木もエネルギーに溢れ、どんなチームであってもぜひ前線に欲しがるような存在となっている。

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