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横浜F・マリノスの“伏兵”が3ヶ月ぶり先発で大仕事。迷い振り切り躍動、小池裕太は「燃えていた」

text by 編集部 photo by Getty Images

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小池裕太
【写真:Getty Images】



“伏兵”小池裕太が横浜F・マリノスを勝利に導く

 明治安田生命J1リーグ第20節が6日に行われ、横浜F・マリノスはサンフレッチェ広島に3-0で快勝した。



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 先制点を奪ったのは、3ヶ月ぶりのリーグ戦先発となったDF小池裕太だ。32分、右サイドにボールが展開されるのを見るやゴールに向かって走り出した小池裕太は、MF水沼宏太のクロスに頭で合わせてゴールネットを揺らした。

「(水沼)宏太くんがあの位置で持って、ファーサイドでフリーということもあったので、宏太くんなら見えていると思って走り込んでいきました」

 鹿島アントラーズでプレーしていた2019年7月6日に記録したプロ初ゴール以来、J1では“ちょうど”3年ぶりのゴールになった。小池裕太は「久しぶりだったので、正直、どう喜んでいいかわからなかったんですけど、やっぱり嬉しかったですね」と喜びを語る。

 ゴールに関係なく、今回の広島戦は小池裕太にとって特別な一戦だった。前回リーグ戦で先発起用されたのが、4月6日にアウェイで敗れた広島戦。久しぶりにつかんだ先発出場のチャンスで自らの成長を示すとともに、チームを勝利に導くことが求められる。「1回負けた相手なので、負けられないし、燃えましたね」と大きな責任を背負ってプレーした。

「前回の広島戦では、正直個人でもチームとしても何もできなかったのは理解していたし、それを踏まえてしっかり準備してきたので、そこで勝ちという結果を残せたことはよかったと思います」

 先制点でチームの勝利に貢献しただけでなく、マリノスの左サイドバックとして戦えることを証明した。

 シーズン序盤からDF永戸勝也やDF小池龍太の壁に阻まれ、なかなか出番がなかった。ピッチに送り出されてもポジショニングが定まらないなど戦術への適応に苦しみ「自信なさげというか、どこにいればいいか正直迷いながらだったんですけど、その迷いが自分にとっての難しさになっていた」と自覚する背番号26は、これまでとは見違えるような躍動感で左サイドを駆け回った。

「サイドバックが変則的に中に入ったりする。メンバーに入らなくて(スタンドの)上で見ている時も、どうしたらインサイドを取れるか、永戸(勝也)選手の動きをどう自分の中に取り入れるかは意識していたし、練習中からウィングの選手とコミュニケーションを取りながらやっているので、その部分は今回の試合で出せたかなと思います」

 左サイドの専門職である自分がいるにも関わらず、小池龍太やDF角田涼太朗が本職ではない左サイドバックで継続的に起用される屈辱も味わった。だが、「龍くん(小池龍太)はすごく技術があって、監督が思っていることを忠実にできる選手なので、悔しさはあるんですけど、自分でも負けている部分はすごく多いと思った」と現状の実力差を受け入れながら、「龍くんのプレーを見ながら、自分の中で考えてできればいい」とポジティブ思考に変換して地道に努力を続けた。

 諦めずマリノスの戦術に適応しようともがいた成果が、6日の広島戦でのゴールや勝利につながった。チームはリーグ戦6連勝を達成し、変わらず首位を快走する。小池裕太は「この試合で満足しているわけではないので、またしっかり練習からマリノスのスタイルを自分のものにしていけたらいいかなと思います」と、さらなる活躍に意欲を燃やしていた。

「正直、自分は試合に出られればやれる自信は常に持ち続けています。それを試合にどう出すか、いつも考えながらやっているので、試合に出られれば何かインパクトを残せると自分ではいつも思っています」

 出場機会が少なくても高いモチベーションを維持し、どうすればチームに貢献できるかを考えられる選手がいまのマリノスには揃っている。小池裕太はそうしたチームスピリットを象徴する選手の1人と言えるだろう。

 まだ課題も多いが、苦悩の時期を乗り越えて「出れば何かインパクトを残せる」と自信を深める25歳の存在がチームの成長を大きく後押しするのは間違いない。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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