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Jリーグ 2年前

「目指している展開ではない」。それでもなぜ川崎フロンターレは勝てたのか? 鹿島アントラーズ撃破で見えた3連覇の可能性【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

3連覇の偉業へ、横浜F・マリノス追撃



 この日は守護神のチョン・ソンリョンが身内の事情で欠場。エースFWレアンドロ・ダミアンも負傷欠場という苦しい台所事情だったが、鬼気迫る迫力を見せた鹿島を下した意味は大きい。今季の川崎は一度、集中が切れると大量失点するケースも何度かあっただけに、こうやって失点の連鎖をストップさせたことも価値ある出来事だったのではないか。

 現時点ではサンフレッチェ広島が暫定2位で、川崎は3位。だが、マリノスと川崎の試合数が3試合少ないことを考えると、J1優勝争いは両者の一騎打ちという構図になったと見ていいだろう。すでに直接対決が終わっている以上、川崎はマリノスの取りこぼしを待つしかないが、8月の彼らの苦戦ぶりを見ていれば、逆転できるチャンスは少なからずある。それを信じて、まずはこの日のような一体感ある戦いでポイントを重ねていくしかない。

「正直、僕らが目指しているような展開ではなかったし、2-0になってからの試合運びをもっとうまくやれるようにしないと。自分たちで試合を苦しくしたことを反省点として今後に生かしたい。でも勝ち切ったことは評価していい」とキャプテンは改めて力を込めた。こういう苦しい試合を乗り越えてこそ、3連覇の偉業達成に近づけるのだ。

 トンネルを抜け出した川崎がここからどのような軌跡を辿っていくのか。いずれにしても谷口の統率力なしに成功はあり得ない。カタールW杯を目前に控え、心身充実のキャプテンの舵取りにより大きな期待が寄せられる。

(取材・文:元川悦子)

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